アナログさに驚く:スカイライン GT-R クロスオーバーの起源:RAV4 輝かしい1990年代のクルマ(3)

公開 : 2025.04.26 09:47

1990年代がクルマ好きにとっての黄金期だった? 今にはない純粋さと個性が宿るモデルたち 愛おしい気持ちは思い込みではないのか? UK編集部の気になる10台を試乗で振り返る

日産スカイライン GT-R:アナログさに驚く

1990年代の日本車代表といえば、日産スカイラインがその1台。世代を経る毎に、変化を重ねてきた。初代は1960年代のプリンス・モーター社で誕生。日産が買収し、その歴史は今へ続いている。

英国には、幸運にも10代目のR34型スカイラインが導入された。フラッグシップとなるGT-Rは、四輪駆動に四輪操舵、ツインターボの2.6L直列6気筒エンジンを搭載し、ハイスペックの塊といえた。高価でもあったが。

日産スカイライン GT-R(R34/1999〜2002年/英国仕様)
日産スカイライン GT-R(R34/1999〜2002年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

グレートブリテン島では、スカイライン GT-Rは珍しかった。スポーツカーとして、手荒な改造を受けるケースが少なくなかった。今回のように、オリジナル状態が保たれた例は極めて限られる。マット・ソーンダースが、興奮気味に語る。

「数年前までスカイライン GT-Rを運転する時は、熱狂する市場の重圧を感じずにいられませんでした。でも最近は、このクルマの体験をしっかり味わえる気がします。ターボブーストが高まると、完全に飲み込まれるような感じですね」

「コンパクトでライトウエイト。感触が豊かで、従来的なアナログさが濃いことへ驚きました。現代の水準でも、速さは間違いなし。姿勢制御の安定性はレーシングカー級で、後輪駆動へ近い自然なコーナリングも魅力的。やっぱり大好きです」

トヨタRAV4:魅力的なクロスオーバーの起源

自由だった1990年代を振り返れば、今ではメジャーな選択肢となった、コンパクト・クロスオーバーが誕生したことにも疑問はない。このカテゴリーの起源には、1994年に発売されたトヨタRAV4がある。

コンセプトカーは1989年に発表。当初は3ドアだけだったが、1995年には5ドアも追加されている。プラットフォームは、その頃のカローラ譲り。エンジンはカムリ、サスペンションはセリカ GT4から拝借されている。スタイリングは、今でも特徴的なものだ。

MGFとトヨタRAV4
MGFとトヨタRAV4    マックス・エドレストン(Max Edleston)

2025年のRAV4と比べると、純粋さへ改めて気付ける。「もしランドローバー・ディスカバリーが1990年代に登場していたら、RAV4は選ばれなかったかもしれません。しかし、自分はRAV4が加わって本当に良かったと感じます」。ソーンダースが笑う。

「RAV4がなければ、ランドローバーフリーランダーも、日産キャシュカイ(デュアリス)も、ホンダCR-Vも生まれなかったでしょう。お手頃な、背の高い小型SUVを潜在的に求めていた人々の存在を、証明したモデルです」

「洗練させた、初代ディフェンダーのような印象があります。背筋を伸ばした運転姿勢で、走りは静かで機敏。適度に小さく、視界に優れ、デザインはポップ。多くの魅力を感じますね」

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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