ランボルギーニ・ディアブロ 濡れた滑走路を簡単に飛ばせる 輝かしい1990年代のクルマ(6)
公開 : 2025.04.27 19:05
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密接に関係していた製造コストと販売価格
これまで触れてきたように、1990年代のクルマが恋しく感じる理由は沢山ある。鮮やかなカラーに、臆することないサウンド、濃密なメカニズムとの一体感。そして、価格もより実際に基づいていた。
近年のモデルでは、加速や音響を楽しめる高性能なクルマを所有する充足感が、価格へ反映されている。つまり、マーケティング寄りにある。しかし30年前は、製造コストと販売価格は密接に関係していた。得られる興奮は、より身近にあったといえる。

マックス・エドレストン(Max Edleston)
1995年に、四輪駆動ではなく後輪駆動へ簡素化されたランボルギーニ・ディアブロ SVは、通常のディアブロより安価だった。英国では20%も。お買い得だったかと聞かれると、即答はできないが。
今回のイエローのディアブロ SVは、ヴォグゾール・ロータス・カールトンのレストアを副業で手掛ける、ジェームズ・ボーモント氏の愛車。完璧な状態が維持されている。1996年7月に試乗テストを実施した車両、そのものでもある。
濡れた滑走路を、驚くほど簡単に飛ばせる
快適でなく、手懐けにくく、野獣のような体験をディアブロには期待してしまう。517psの古いイタリアン・スーパーカーとして、ステアリングやトラクション、シャシーバランスなどは、理想とは違うだろうと構えてしまう。
しかし実際は、確かに驚異的ではあっても、アクセルペダルを蹴飛ばすのを躊躇するような野蛮さはない。軽く濡れた滑走路を、驚くほど簡単に飛ばせた。

5.7L V12エンジンは、4000rpm前後からクレッシェンドし、MTは使いこなすのに練習が必要だろう。内装の品質が、優れるともいい難い。それでもクラッチペダルが踏みにくいわけではなく、ステアリングも少しの力で回せる。威圧感は大きくない。
ジオット・ビッツァリーニ氏が、1960年代に設計したユニットを先祖に持つV12エンジンは、ムルシエラゴ以降のユニット以上にたくましく、胸が苦しくなるような響きを奏でる。傑出したエンジンが、ディアブロの中心にある。
適切なメンテナンスを絶やさなければ、ディアブロ SVは素晴らしいクラシック・スーパーカーだ。運転は想像するほど難しくなく、間違いなく楽しい。
ランボルギーニ・ディアブロSV(1995~1999年/英国仕様)のスペック
英国価格:12万4995ポンド(新車時)
最高速度:320km/h以上
0-100km/h加速:4.2秒
車両重量:1567kg
パワートレイン:V型12気筒5707cc 自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:517ps/7100rpm
最大トルク:59.0kg-m/5200rpm
ギアボックス:5速マニュアル(後輪駆動)
この続きは、輝かしい1990年代のクルマ(7)にて。
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