9代目はヴァリアントのみ フォルクスワーゲン・パサート 試作車へ試乗 先代以上に良いクルマ

公開 : 2023.07.17 08:25

2.0L 4気筒ディーゼルターボで余裕の走り

フォルクスワーゲンのCEO、トーマス・シェーファー氏によると、パワートレインには最新の4気筒ガソリンとディーゼルがラインナップされ、すべて排気ガス規制のユーロ7に合致するとのこと。一部は電圧48Vのマイルド・ハイブリッドになる。

詳細はまだ不明だが、排気量は1.5Lから2.0Lの間。トランスミッションは、7速デュアルクラッチ・オートマティック(DSG)に加えて、6速マニュアルも一部で選べる。標準で前輪駆動だが、四輪駆動も用意される。

フォルクスワーゲン・パサート・ヴァリアント・プロトタイプ
フォルクスワーゲン・パサート・ヴァリアント・プロトタイプ

プラグイン・ハイブリッドも提供予定。1.5L 4気筒ガソリンエンジンに駆動用モーターが組み合わされ、システム総合で203psか271psに設定されるという。

駆動用バッテリーの容量は、約26kWhと大型化。電気だけで走行可能な距離は、最長128kmへ伸びる。また、ACだけでなくDCの急速充電器にも対応する見込み。

予習はこのくらいにしておこう。9代目パサートの運転席へ座り、センターコンソールに配されたスタートボタンを押す。シフトセレクターのノブを回し、Dを選択する。

試乗車には、2.0L 4気筒ディーゼルターボが搭載されていたが、低速域ではトルクが太く粘り強い。回転フィールも、洗練されているように感じた。新型パサートでは最も強力なユニットということで、発進加速は鋭く、中間加速も意欲的。

7速DSGは素早く反応し、低回転域での余裕を活かし、高速道路をゆったり穏やかに巡航できる。アクセルペダルを踏み込んでもキックダウンしたがらない性格付けは、最近のDSGに共通している。

操縦性や乗り心地は明らかに向上

ステアリングの反応は正確で、適度な重み付けが好感触。セルフセンタリング性が強く、フィードバックは8代目から明確に増えている。

サスペンションもアップデートされ、ツインバルブ・ダンパーを獲得。衝撃吸収性を高めつつ、落ち着いた姿勢制御を叶えている。ワダチや隆起部分が目立つ路面でも、遥かに滑らかに処理しているように感じられた。

フォルクスワーゲン・パサート・ヴァリアント・プロトタイプ
フォルクスワーゲン・パサート・ヴァリアント・プロトタイプ

コーナーでの敏捷性も向上。8代目よりシャープに回頭し、ラインをトレースしやすく、運転の楽しさも増している。スポーツワゴンへ進化した、とまではいえないとしても。

大幅に一新されたインテリアは、知覚品質が高く居心地が良い。インフォテインメント・システムを含む、車載機能の操作性も悪くないようだ。

まだプロトタイプの段階ではあるものの、先代以上に優れたクルマヘ進化することは間違いなさそうだ。長年改良を重ねてきたステーションワゴンらしく、ユーザーが期待するであろう実用性や品質は、しっかり保たれている。

加えて、正確性を増した操縦性と上質な乗り心地も獲得している。従来のように親しみやすく、動的能力は引き上げられ、熟成度を増すといっていい。

近年は、ステーションワゴンが減少傾向。9代目パサートの登場は、多くの既存ユーザーにとって心強い存在になるのではないだろうか。

フォルクスワーゲン・パサート・ヴァリアント・プロトタイプのスペック

英国価格:約4万5000ポンド(約787万円/予想)
全長:4917mm
全幅:1852mm
全高:1482mm
最高速度:241km/h(予想)
0-100km/h加速:7.8秒(予想)
燃費:−km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1600kg(予想)
パワートレイン:直列4気筒1968ccターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:192ps
最大トルク:−kg-m
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック(前輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    グレッグ・ケーブル

    Greg Kable

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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