2. スコダ・エンヤクiV

チェコの自動車メーカーであるスコダは、しばしば親会社フォルクスワーゲン・グループのメカニカルを、より賢明で広々としたパッケージで包み込み、お買い得に仕上げてくる。エンヤクiVもその1台だ。フォルクスワーゲンID.3ID.4アウディQ4 eトロンと同じMEBプラットフォームを採用しているが、内外装デザインを巧みに調整し、電動SUV市場のスイートスポットを確実に突いている。

特に、広々とした効率的なキャビンは深く印象に残り、見た目の質感やパーソナライゼーションにおいてはアウディに匹敵する。シャシーのセットアップも、非常に成熟している。スポーツカー好きの熱心なドライバーに響くものではないが、堅実でかなりタイトに制御されているように感じられ、航続距離に不利益を与えることなく、しっかりと満足感を抱かせる。

2. スコダ・エンヤクiV
2. スコダ・エンヤクiV

AUTOCARがテストした最高出力204psのエンヤクiV 80は、ほとんどのドライバーを満足させるであろうパフォーマンスを示し、535kmという航続距離も長距離移動に十分使えるものだ。

予算重視のモデルもあり、58kWhのバッテリーパックを搭載したエンヤクiV 60では、航続距離は400kmとなる。さらに小型のエンヤクiV 50もあるが、こちらでは現在販売されていない。エンヤクiV 80Xスポーツラインはフロントモーターを追加してパワーを高め、四輪駆動となる。さらに、スポーティなスタイリングを備えた最高出力306psのエンヤクiV vRSも選ぶことができる。選択肢は豊富だ。

しかし、ヒョンデアイオニック5に個性で劣り、デザインもややぎこちないところがある。アクティブセーフティ機能は少々煩わしく、標準装備の設定もちょっと意地悪なので、今回はトップバッターに選ぶことができなかった。

3. キアEV6

キアは、使い勝手がよく、手頃な価格の「普通」のEVに、ドライビングの魅力をもたらそうとしている。その点では他の誰よりも目標に近づいているといえるだろう。ヒョンデ・アイオニック5の兄弟車であるEV6では、最先端のEV専用プラットフォームを駆使し、ハンサムなボディ、程よいサイズのキャビン、後輪駆動シャシーによる鋭いフィールとハンドリングと乗り心地を備え、これまでの多くのEVよりも運転が面白いパッケージに仕上げている。

英国向けのグレードは3種類あり、パワートレインにはシングルモーター後輪駆動とデュアルモーター四輪駆動が選べる。最高出力の範囲は229psから325psまで設定され、さらに585psを発揮するパフォーマンス重視のEV6 GTも登場した。

3. キアEV6
3. キアEV6

77.4kWhのバッテリーは最大239kWの急速充電が可能で(設備などが整っていた場合)、紅茶を注文してアイスバンを食べるくらいの時間で充電できる。WLTPサイクルでの航続距離は最大528kmとされている。

EV6のパッケージにはいくつかの制約があり、その1つが価格だ(同クラスのEVと比べると手頃な価格とは言えない)。また、スポーティ寄りの設計なので、どちらかというと乗り心地もスムーズで洗練されているわけではない。キャビンの質感は、アイオニック5ほど豊かでも、心地よくもない。また、ステアリングは生気がなく無感覚で、このクルマのダイナミックな魅力を少し削いでしまっている。

とはいえ、EV6のハンドリングは驚くほど俊敏で、そのパフォーマンスは(シングルモーターモデルの場合でも)気迫に満ちており、ゼロ・エミッションのクルマでは今までのような熱意が育まれないと思い込んでいるドライバーにも、十分な元気を与えてくれる。とにかく運転を楽しみたいのなら、1ポンドあたりのパフォーマンスでEV6 GTに匹敵するクルマは、どの価格帯でも珍しいだろう。たしかに6万ポンド(約1080万円)という価格は安くはないが、0-100km/h加速を3.5秒で駆け抜けるし、「ドリフト・モード」はとても活発で、おそらく頬が緩んでしまうことは確実だろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・ディスデイル

    James Disdale

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    平成4年生まれ。テレビゲームで自動車の運転を覚えた名古屋人。ひょんなことから脱サラし、自動車メディアで翻訳記事を書くことに。無鉄砲にも令和5年から【自動車ライター】を名乗る。「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。イチゴとトマトとイクラが大好物。

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