ルノー・オーストラル 詳細データテスト 上質なパワートレイン 広く質感の高い室内 4WSは要改善

公開 : 2023.07.29 20:25

ルノー独自のハイブリッドシステムは熟成を重ね、日常使いでは不満のない動力性能と優れた燃費を両立しています。難点はシャシー。4WSの不自然な反応とゴツゴツした乗り心地は、ファミリーカーとしては改善を望む部分です。

はじめに

カルロス・ゴーンが2018年に逮捕されたのちに、彼が主導したルノー日産三菱アライアンスの存続が危ぶまれたことがあった。今のところ、変わらず維持されているが、それでも大幅な体制変更が求められた。

株式の保有比率はより平等なものに近づけられ、各ブランドごとに注力するセグメントや地域を明確化。また、そこで得られた経験を、他ブランドでも活用できるシステムが整備された。

テスト車:ルノー・オーストラルE-テック・アイコニック・エスプリ・アルピーヌ
テスト車:ルノー・オーストラルE-テック・アイコニック・エスプリ・アルピーヌ    MAX EDLESTON

しかしそれは、今年の早い時期に決まったばかりで、それ以前は緩やかなコラボレーションだった。そんな過渡期に生まれた新たなプロダクトのひとつが、今回のルノー・オーストラルだ。日産キャシュカイと同じCMF-CDプラットフォームを用いるが、共通要素はそれだけだ。

ルックスは似ても似つかず、インテリアやマルチメディアも別物。パワートレインのコンセプトもまったく異なる。フォルクスワーゲングループやステランティスのような、じつにわかりやすいコンポーネンツ共用とは、根本的にアプローチが違っている。

つまりオーストラルは、きわめて人気の、ライバルひしめくクラスにあって、興味を惹かれる独特な参入者だと言える。もっとも、競争は厳しいものの、心躍るようなクルマはほとんどないクラスなのだが。

英国に導入されるのはフルハイブリッドのE−テックのみで、ルノー独自のシンクロもクラッチもないギアボックスを用いるシステムを搭載する。ライバルはキア・スポーテージやヒョンデ・ツーソン、ホンダZR−V、そして遠縁的なキャシュカイあたりだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    関耕一郎

    Kouichiro Seki

    1975年生まれ。20世紀末から自動車誌編集に携わり「AUTOCAR JAPAN」にも参加。その後はスポーツ/サブカルチャー/グルメ/美容など節操なく執筆や編集を経験するも結局は自動車ライターに落ち着く。目下の悩みは、折り込みチラシやファミレスのメニューにも無意識で誤植を探してしまう職業病。至福の空間は、いいクルマの運転席と台所と釣り場。

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