「T型フォード以来最も機能的」な2人乗り小型EV アーク・ゼロ 英国で納車開始、約110万円から

公開 : 2023.09.19 06:05

・英国の新興企業アークが小型EV「ゼロ」の納車を開始。
・車重489kg、最高速度45km/h、航続距離80km、価格は約110万円から。
・物価高騰にあえぐ都市部の若い世代に向けた「機能的」な2人乗り四輪車。

「英国最安値」を謳う小型EV

英国のEV新興企業アーク(Ark)は、小型の電動四輪車「ゼロ」の納車を開始した。価格は5995ポンド(約110万円)からで、「英国で最も手頃なEV」と謳われる。

アーク・ゼロは、今年6月にロンドンを拠点とする同社のウェブサイトで発売された。アークによると、すでに200台以上を販売したという。

アーク・ゼロ
アーク・ゼロ    アーク

車両重量489kg、最高速度45km/h、航続距離80kmで、大人2人と犬1匹が乗れるスペースがある。最高出力3psの電気モーターとリチウムイオンバッテリーを搭載している。

アークによると、ゼロのボディはすべてアルミニウム製で、事故時のエネルギー吸収と放散が従来のスチール製ボディよりも優れているという。これにより乗員の安全性が向上するほか、市街地でのハンドリングと操縦性も改善され、よりバランスのとれた重量配分と耐腐食性を実現したとのこと。

ボディサイズは全長2500mm、全幅1202mm、全高1625mmで、近いライバルとしてはシトロエン・アミが挙げられる。

外装色はレッド、ブラック、ホワイト、グレーの4色から選択できる。

サンルーフ、バックカメラ、LEDライト、LCDインフォテインメント・スクリーン、Bluetoothが装備される。

充電には標準的なタイプ1充電器を使用し、最大7.4kWの充電が可能。タイプ2の充電器もコンバーターを介して使用できる。アークによると、フル充電には6~8時間かかり、そのコストは1ポンド以下だという。

T型フォード以来最も機能的なクルマ

受注は現在英国国内に限定されているが、アークは近い将来さらに事業を拡大する予定だ。

アークはまた、近い将来Aセグメント車を発売する計画もあり、来年からロンドンで自動運転による配車サービスを展開する予定である。

アーク・ゼロ
アーク・ゼロ    アーク

英国では自動車の平均価格が2023年1月時点で3万9308ポンド(約720万円)と高騰していることもあり、都市部に住む若い世代をターゲットにしたマイクロEVの発売が相次いでいる。

フィアットは最近、シトロエン・アミをベースとしたトッポリーノを発表し、「若い人たちにもう一度クルマを好きになってもらう」ことを目指している。

アークのイルマズ・ボラCEOは次のように語っている。

「アーク・モーターズでは、よりスマートで、よりスムーズで、より環境に優しいアーバン・モビリティの未来を創造することに全力を注いでいます。化石燃料への依存をなくし、アーク・ゼロのようなEVを取り入れることで、わたし達は地域社会に前向きな変化をもたらし、次の世代のために地球を守ることができるのです」

また、アークの広報担当者は「アーク・ゼロはフォード・モデルT(T型フォード)以来の最も機能的なクルマです。資本主義は前世紀、必要のない過剰なエンジニアリングのクルマをわたし達に売りつけました。アーク・ゼロのおかげで、わたし達は妥協することなく、効率的かつ手頃な価格で市場のニーズに対応することができるのです」とコメントしている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

関連テーマ

おすすめ記事