フィアット500がアイスクリームの移動販売車に! 300人分の冷凍庫にデッキチェアも装備

公開 : 2023.08.25 18:05

フィアットは500eをベースとするワンオフモデル「ジェラテリア・エディション」を英国で公開。英国人が大好きなアイスクリーム移動販売車も排出ガス規制に直面していることから開発された陽気なEV。

フィアット500e 英国人が大好きなアイスクリーム・バンに

フィアットはEVの500eをベースとするワンオフモデル「ジェラテリア・エディション」を英国で公開した。各都市で排出ガス規制が強化されるのに対応して開発された、アイスクリームの移動販売車である。

ロンドンをはじめとする欧州の一部都市ではクリーン・エア・ゾーンが設定され、通行車両の排出ガスを厳しく規制している。来年末までに14都市で実施されることになっている。

フィアット500eジェラテリア・エディション
フィアット500eジェラテリア・エディション    フィアット

アイスクリーム販売車は欧米で「アイスクリーム・バン」や「アイスクリーム・トラック」などと呼ばれ、市民や観光客に親しまれているが、既存車両の多くは排出ガス規制に準拠しない古いディーゼルエンジンを搭載している。

ロンドンのカムデン、グリニッジ、ウェストミンスターの各自治区は、過度の大気汚染と騒音公害を理由に、内燃エンジン搭載のアイスクリーム・バンの使用を禁止または制限している。また、8月29日にはULEZ(超低排出ガスゾーン)が32の自治区すべてに適用されるため、基準を満たさない通行車両は1日あたり12.50ポンド(約2300円)の罰金が課されることになる。

フィアット英国部門のマネージングディレクター、ダミアン・ダリー氏は次のように述べている。

「フィアット500eジェラテリア・エディションは、500eコンバーチブルをベースとした、英国向けのワンオフ・コンセプトであることに変わりはありませんが、都市環境におけるクルマの多用途性を示すゼロ・エミッションのソリューションです。小型でコンパクトなEVであり、ブランドの伝統を意識したスタイリングとなっています」

ジェラテリア(gelateria)とはイタリアのアイスクリーム販売店を指す言葉で、今回のワンオフモデルは「1950年代のイタリアのジェラテリア」にインスパイアされているという。

後部座席の代わりに冷凍庫を設置し、ブルーとホワイトの陽気な塗装が施され、折りたたみ式ルーフとキャノピーも装備されている。フロントフェンダーにはブロンズの「Gelateria」バッジがあしらわれている。

フィアットはまた、「イタリアのオペラ風サウンド」をイメージしたというチャイムも特別に開発した。

車内にはデッキチェアと1日300人分の冷凍スペースが備わる。フィアットの調査によると、英国人の83%が「アイスクリーム・バンは英国文化の真髄」と考えているという。

英国向けのワンオフモデルのため、量産化の予定はない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    英国編集部。英グラスゴー大学を卒業後、モータージャーナリストを志しロンドンに移住。2022年からAUTOCARでニュース記事を担当する傍ら、SEO対策やSNSなど幅広い経験を積んでいる。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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