ホンダCR−Z

公開 : 2012.12.18 17:26  更新 : 2017.05.29 19:10

最大の改良点はパワートレインだ。動力源のキモとなる動力電池をニッケル水素から、高電圧・大電流・大容量のリチウムイオンに替えた。これまでと同等のサイズと重量で、電圧も容量も2倍弱。それに合わせてモーターも1.5ℓエンジンも高出力化。こうした手当てでトータルのシステム出力が135~136ps(従来は123~124ps)になった。「もっとパワーを」の声は、CR-Zを素直に“スポーツカー”と考える欧州市場で大きかったという。実際に乗っても、なるほど力感は以前より増した。リチウムイオンは容量も大きく、無遠慮に踏みまくったときの「パワーのもち」もいい。満充電からフル加速性能が引き出せる回数は従来比で2倍強になったとか。

また、今回は新機軸として“プラススポーツ・システム”というのが追加された。3種類あるドライブモード(エコ、ノーマル、スポーツ)のどこでも、ステアリングの“+S”ボタンを押せば即座に「スロットルオン→即全開」という極端な加速制御が(1回だけ)遂行される機能だ。これは確かに、いつもエコやノーマル固定のユーザーが「ここぞの追い越し」をワンタッチで楽しめるゲーム的余興にはなろうが、使えるのは走行中だけでローンチコントロールとはちがうし、パワーアップするわけでもない。普段からスポーツモードで積極的にスロットルを踏んで走っている好事家には、正直なところメリットは薄い。

もっとも、少しばかりパワーアップしてもCR-Z最大の魅力はやはり操縦性。今回も車体剛性、バネ、アブ、スタビのすべてをやり直してあり、17インチタイヤ(銘柄は吟味に吟味を重ねたというタイ製ミシュランPS3)も新設定。試乗したのはその17インチ仕様だけだが、従来の良くも悪くもドライな軽快さとは対照的に、ズシッとフラットにへばりつく。ステアリングも強力。この「柔らかくはないけどアシ動くわあ」のしなやかで重厚なタッチは、車両価格にして30万円はあがった(実際のアップは10万円以下)感じ。ちなみに重量配分その他の影響で、CVTよりM/Tのほうが乗り心地があきらかに滑らかで、接地感も高い。開発担当氏によっても「われわれの理想に近いのはM/T」だそうである。

(文・佐野弘宗 写真・神村聖)

ホンダCR-Z α Master Label

価格 263.0万円
最高速度 na
0→100km/h加速 na
燃費(JC08モード) 20.6km/ℓ
CO₂排出量(JC08モード) 112.7g/km
車両重量 1140kg
エンジン形式 直4SOHC、1496cc
エンジン配置/駆動方式 フロント縦置き/前輪駆動
最高出力 120ps/6600rpm
最大トルク 14.8kg-m/4800rpm
圧縮比 10.4
モーター最高出力 20ps/2000rpm
モーター最大最大トルク 8.0kg-m/1000rpm
システム最高出力/最大トルク 136ps/19.4kg-m

変速機 6段M/T
全長 4075mm
全幅 1740mm
全高 1395mm
ホイールベース 2435mm
燃料タンク容量 40ℓ
指定燃料 無鉛レギュラー
荷室容量 214ℓ
サスペンション (前)ストラット
(後)トーションビーム
ブレーキ (前)Vディスク
(後)ディスク
標準タイヤサイズ 205/45R17

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