日本でも注目の電動ミニバン キアPV5 パッセンジャー(2) 穏やかマナーで気の合う相棒 ファミリーの普段使いから日々酷使する商用まで

公開 : 2026.08.03 18:10

日本へ上陸した大胆ボディの電動ミニバン、キアPV5。163psと71.2kWhの組み合わせで、航続距離は411kmとなります。機能性の高さに加えて、ファミリカーの基準を満たす走りも特徴です。UK編集部が試乗します。

ファミリカーの基準を満たす走り

日本でも販売がスタートした、キアのPV5 パッセンジャー。全長は4695mm、全幅が1895mm、全高が1899mmで、幅は少々広いが、長さは短く取り回しはさほど難しくない。車重も実測で2118kgと、バッテリーEVとしては見かけほど重くもない。

一方で背が高いワンボックスのボディに、タイヤは16インチの幅が215。機能性優先の、実直な運転体験であることは想像に難くない。とはいえ、動力性能や操縦性、乗り心地などは、ファミリカーとしての基準を満たす。

キアPV5 パッセンジャー・プラス(英国仕様)
キアPV5 パッセンジャー・プラス(英国仕様)

試乗車は、163psの駆動用モーターと71.2kWhのバッテリーの組み合わせだったが、発進加速から身軽。フロントタイヤのスリップを抑えるべく、トルク特性は穏やかながら、高速道路の速度域でも余裕があるほど。

0-100km/h加速は、10.6秒。約50km/hから110km/hへの中間加速も9.7秒で、ヤキモキする場面は少ないはず。ちなみに、フォルクスワーゲンID.バズは9.1秒だ。

不快な突き上げ感のない乗り心地

ステアリングホイール裏のパドルで調整できる回生ブレーキと、自然な感触のブレーキペダルが、速度管理のしやすさを底上げしている。郊外の道を素早く駆け抜けるタイプではないが、週末のドライブで不満は感じないだろう。

プラットフォームは乗用車用の改良版で、速度抑制用のスピードバンプやマンホールの蓋を通過しても、不快な突き上げ感などはなし。稀に、大きな凹凸で揺さぶられる感覚は伴うが、乗り心地は褒められる。商用バンのカーゴも、快適性は同等だ。

キアPV5 パッセンジャー・プラス(英国仕様)
キアPV5 パッセンジャー・プラス(英国仕様)

ステアリングレシオは、若干スロー。予想より多めにステアリングホイールを切ることになるが、セルフセンタリング性は自然で比較的軽く回せ、トルクステアも生じない。

オーバーハングが短く、狭い交差点では四隅の位置を把握しやすい。小回りは利く方で、最長回転直径は11.0mが主張される。他方、カーブへ高めの速度で侵入すれば、小さくないボディロールと若干頼りない挙動で、背の高いクルマだと実感する。

穏やかなマナーで気の合う相棒

走行中の車内ノイズは、80km/hの巡航時で61dBAと、アウディQ3並みに静か。高速域で、風切り音が目立つようなこともなかった。

総じて、穏やかなマナーで運転しやすい電動ワンボックスといえる。ミニバンとして普段使いする父親や母親にとっても、商用バンとして日々酷使するドライバーにとっても、気の合う相棒になるのではないだろうか。

キアPV5 パッセンジャー・プラス(英国仕様)
キアPV5 パッセンジャー・プラス(英国仕様)

試乗での電費は、日常的な条件の平均で4.3km/kWh。現実的な航続距離は、市街地中心で370kmほど。高速道路を交えた複合的な条件では、250kmほどと考えていい。

急速充電は、DCで最高150kWが主張される。実際に試したところ平均101kWに留まったが、45分休憩すれば残量10%から90%へ回復できる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    役職:編集アシスタント
    2022年よりAUTOCARに加わり、ニュースデスクの一員として、新車発表や業界イベントの報道において重要な役割を担っている。印刷版やオンライン版の記事を執筆し、暇さえあればフィアット・パンダ100HP の故障について愚痴をこぼしている。産業界や社会問題に関するテーマを得意とする。これまで運転した中で最高のクルマはアルピーヌ A110 GTだが、自分には手が出せない価格であることが唯一の不満。
  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

キアPV5 パッセンジャーの前後関係

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