ポストSUV時代を体現 キアPV5 パッセンジャー(1) スライドドアに3列シートも 日本で販売スタート

公開 : 2026.08.03 18:05

日本へ上陸した大胆ボディの電動ミニバン、キアPV5。163psと71.2kWhの組み合わせで、航続距離は411kmとなります。機能性の高さに加えて、ファミリカーの基準を満たす走りも特徴です。UK編集部が試乗します。

大胆な見た目でも、機能性と実用性も疎かにせず

2024年に、新プラットフォームによる3種類のコンセプトカーをお披露目したキア。その量産版の第1弾となるPV5が、僅か2年で販売へ至ったことに驚かされる。

同社のデザイナー、カリム・ハビブ氏は「ポストSUV時代」について数年前に語っていたが、これは自ら体現したモデルといえる。乗用のパッセンジャーと商用のカーゴの2種類が用意され、大胆な見た目でありつつ、機能性や実用性も疎かになっていない。

キアPV5 パッセンジャー・プラス(英国仕様)
キアPV5 パッセンジャー・プラス(英国仕様)

4695mmの全長は、フォード・トランジット・カスタムなど、欧州で一般的なワンボックスモデルより短め。しかし、バッテリーEVならではといえるパッケージングで、車内空間は同等にある。カーゴの場合、5立方メートル以上の積載容量が確保されている。

プラットフォームは、キアのE-GMP.S。サスペンションは、前がダブルウィッシュボーンで、後ろがトーションビームとなり、コイルスプリングが快適性へ貢献する。

163psと71.2kWhの組み合わせで航続411km

フロントに永久磁石同期モーターを1基搭載し、最高出力は121psか163psの2段階が設定される。駆動用バッテリーは51.5kWhか71.2kWhを選べ、163psに後者の組み合わせで、航続距離は最長411km。充電ポートは、フロントノーズに備わる。

短いフロントのオーバーハングと、キャブフォワードなレイアウトが、印象的なスタイリングの土台になっている。縦に長いデイライトは、未来的な表情を作る。商用車的な雰囲気は殆どないが、好みはわかれるかもしれない。

キアPV5 パッセンジャー・プラス(英国仕様)
キアPV5 パッセンジャー・プラス(英国仕様)

前後のバンパーは、両サイドと中央の3分割。うっかり擦っても、部分的に交換できる。

両側のセンタードアはスライド式で、テールゲードは上ヒンジ。カーゴの場合、リアドアは観音開きも指定でき、荷室を仕切る壁は開閉するタイプも選べるという。英国では、専門メーカーのヴュルト社製の荷物用ラックも、オプションで用意される。

乗り降りラクラクなスライドドア

フロントドアは大きく開き、運転席の調整域はかなり大きい。足もとの空間が広く取られ、助手席側へ身体を滑らせるのも難しくない。ステアリングホイールは自然な角度で手元へ伸び、運転姿勢は乗用車へ近い。

ガラスエリアが広く、ウインドウの下端が低く、見晴らし良好。窓を開けば、フロントタイヤの位置も簡単に確認できる。ピラーが太く、交差点での死角は小さくないが。

キアPV5 パッセンジャー・プラス(英国仕様)
キアPV5 パッセンジャー・プラス(英国仕様)

後席側は、スライドドアで乗り降りラクラク。車内空間は広大で、少々持て余すほどだが、前席側より開放感は薄い。パッセンジャーの場合、2列5シーターだけでなく、3列7シーターも選択でき、スロープ付きの車いす対応車両も用意される。

2列目は幅に余裕があり、大人3名が問題なく座れる。前席の背もたれ後方には、スマホの充電ポートや小物用ポケット。収納ボックスやカップホルダーなどを好みの位置へ取り付けられる、アドギアというオプションも有用そうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    役職:編集アシスタント
    2022年よりAUTOCARに加わり、ニュースデスクの一員として、新車発表や業界イベントの報道において重要な役割を担っている。印刷版やオンライン版の記事を執筆し、暇さえあればフィアット・パンダ100HP の故障について愚痴をこぼしている。産業界や社会問題に関するテーマを得意とする。これまで運転した中で最高のクルマはアルピーヌ A110 GTだが、自分には手が出せない価格であることが唯一の不満。
  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

キアPV5 パッセンジャーの前後関係

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