プジョー208ハイブリッドFEコンセプト

公開 : 2013.10.31 22:00  更新 : 2017.05.29 19:01

■どんなクルマ?

この9月のフランクフルト・モーターショーで登場したプジョー208ハイブリッドFEコンセプトだ。FEとはファンとエコノミーの頭文字である。この208ハイブリッドFEコンセプトは46g/kmという低いCO2排出量を誇ると共に、スタンディング・スタート0-100km/h、8秒というなかなかの俊足を示す。

プジョー・スポーツから10人が引きぬかれたというエンジニアは、、まったくゼロの状態から僅か16ヶ月で2台の試作モデルを造り上げた。エンジニアは、通常の208に4つのテクノロジー的な改善が施されたと語っている。1つめはエアロダイナミクス、2つめが重量の軽減、3つめがガソリン・エンジンの効率化、そして4つめが電気式ハイブリッドの追加だ。

エアロダイナミクスの改善は重要な要素だ。特にリア部分の変更が大きい。標準のテールゲートとパンパーが新しいデザインのものにされた。また、フロントのラジエーター・グリルも40%ほど縮小された。リア部分は40mmも狭くなり、その結果Cd値は25%縮小した0.25という数値を得る。

ボディ・シェルに使用する軽量複合パネルは、トタールのポリマー・ディビジョンと、子会社であるCCPコンポジットとハッチソンによって開発されたもの。この素材が、ボディ・パネルとフロアに使用される。アウター・スキンは20kgもの軽量化が施され、ボンネットは5kg、フェンダーも2.1kg軽量化た。また、インテリア・モールディングはポリプロピレンおよび天然繊維となり、合計で15kgの軽量化が図られている。ボディ全体としては295kgから227kgまでダイエットされた。

また、プジョーとハッチソンはサスペンションにも手を入れた。マクファーソン・ストラットとリアのビーム・アクスルを2つの大きな横置きのリーフ・スプリングに変更したのだ。しかも、そのスプリングはグラスファイバー・レジン製だ。その結果、20kgもの軽量化が図られた。

エンジンは1.0ℓの3気筒をベースに、排気量を1.2ℓに拡大。ミラーサイクルで動き、圧縮比は11.0:1から16.0:1にアップされた。パワーはベースとなった1.0ℓと同じ68bhpだが、トルクは25%向上している。コンロッドはチタン製、ピストンはアルミニウム製だ。プジョーのエンジニアによれば、カムシャフト、クランクシャフト、ピストン、ピストンリング、カムシャフト支持がダイヤモンドのようなカーボン・コーティングがなされ、20%もの内部摩擦の減少ができたという。また、0W12というバイオ・オイルもこのエンジンのために開発された。エンジンの総重量は、通常のプロダクション・ユニットよりも10kg少ない50kgとなっている。

また、エンジンの冷却水は通常のエンジンに比べ7割も少ないため、ラジエーターもコンパクトになり、空力的なプラスにもなっている。ガソリンはトタールが開発した新しいハイオクだ。

ハイブリッド・システムは、7kgの重さを持つ30kWの電気モーターが組み合わせられ、オートメーション化したマニュアル・ギアボックスと迎合される。パッテリーパックは0.56kWhで重さは25kg。20ℓと縮小化された燃料タンクと共にリア・シートの下に配置される。

タイヤ、ホイールは、145の幅で19インチだ。

■どんな感じ?

完璧に完成されたモデルではないが、非常に興味をそそるエンジニアリングだ。まず、そのエアロダイナミックなアプローチは成功であったといえよう。特にリスタイルと、延長したテール・エンドは非常に上手くいったようだ。208ハイブリッドFEコンセプトは、通常の208よりもずっとアップマーケット向きの自信に満ち溢れているようにすら見える。

インテリアも、唯一ドアにマウントしたリア・ビュー・ミラーの映像を表示する2つのディスプレイを除けば、通常のモデルと大きな差はない。但し、テスト車両ということもあって、大きなラップトップ・コンピュータがダッシュに接続されていた。センター・コンソールの表示には、ホイールにエンジンと電気モーターからデリバリーされたパワーがどのように伝わっているかというモニターが表示される。

クルマはモーターの唸り音と共にスタートする。このモデルは24km/hになるまでエンジンに火が入らない。そして、24km/hを超えると、ちょっとしたショックと共にエンジンがスタートする。この208ハイブリッドFEコンセプトは、まだインテリアが完璧にフィニッシュされていないせいもあって、エンジン音とモーター音がキャビンに侵入してくるのは我慢するしかない。

しかし、208ハイブリッドFEコンセプトが革新的であり、大きな可能性を持っているクルマであることは直ぐに理解できる。

特に、ノンアシストのステアリングのフィーリングが素晴らしいのには驚いた。特に低速での取り回しが楽なのは特筆すべきだ。この点、フォルクスワーゲンのXL1は出来が悪かった。

リーフ・スプリングが使用されたサスペンションは、同じ条件で通常のモデルを試すことができなかったので、確実なことは言えないが、19インチのホイールを履くにもかかわらず、その乗り心地は非常に優れていた。

パリ郊外のサーキットでの限られた試乗ではあったが、エンジンとモーターの迎合も良かった。

208ハイブリッドFEコンセプトは、超経済的な5シーターとしての可能性が感じられたのである。

■「買い」か?

残念ながらこの208ハイブリッドFEコンセプトを買うことはできない。しかも、将来的にどうかといえば、プジョー・シトロエン・グループが苦しい資金繰りになっていることを考えると不安視されるところでもある。

(ヒルトン・ホロウェイ)

プジョー208ハイブリッドFEコンセプト

価格 NA
最高速度 NA
0-100km/h加速 8.0秒
燃費 50.3km/ℓ
CO2排出量 46g/km
乾燥重量 NA
エンジン 直列3気筒1.2ℓ + 30kWモーター
最高出力 68bhp
最大トルク 12.2kg-m
ギアボックス 5速オートメーテッド・マニュアル

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