共感生む1.2ターボ+6速MTのペア プジョー208 1.2 スタイル(2) EVでこの価格は難しい

公開 : 2025.12.02 18:10

3気筒ガソリンに6速MTのベーシックな208 1.2 スタイル 若々しいボディに鉄ホイール アナログメーターが2枚 広いトルクバンドで扱いやすい ニュートラルな操縦性 UK編集部が試乗

広いトルクバンドで日常的に扱いやすい

スズキスイフト・スポーツのように、運転体験が重視されたわけではないが、プジョー208 1.2 スタイルの走りも好ましい。1.2L 3気筒ターボエンジンは、1750rpmで20.8kg-mという充分な最大トルクを生み、意欲的に小さなボディを引っ張れる。

ただし、6500rpm近くまで回るものの、パワーが目立って上昇するわけではなく、早めのシフトアップが正解といえる。サウンドは息苦しくなり、滑らかさも削がれていく。

プジョー208 1.2 100PS スタイル(英国仕様)
プジョー208 1.2 100PS スタイル(英国仕様)

中域までを活用すれば、トルクバンドが広く、日常的な速度域では扱いやすさを実感できる。左足がフットレストへ当たりがちで、シフトレバーの感触はやや曖昧だが、変速感は正確。マニュアルの小さなハッチバックという、清々しさへ惹かれるはず。

ブレーキの効きは若干弱め。テストでは112km/hから停止するまでに、乾燥路で50mを要している。

ニュートラルな操縦性 もっと濃い味でも良い

100psが叶える0-100km/h加速は、10.4秒とまずまず。ルノー5 e-テックなど、バッテリーEVの同クラスのモデルには及ばないとしても。

16インチのスチールホイールという、ベーシックな足まわりの試乗車だが、安定性は素晴らしい。傷んだアスファルトでは落ち着きを保てなくなるものの、高めの速度域でしなやかな乗り心地を披露。姿勢制御にも締まりがあり、不安定感は皆無といえる。

プジョー208 1.2 100PS スタイル(英国仕様)
プジョー208 1.2 100PS スタイル(英国仕様)

操縦性は、基本的にニュートラル。ステアリングもクイックではなく、サーキットを攻めなければ、優れたシャシーを確かめにくい。プジョーとして、もっと濃い目の味付けで、峠道で振り回す楽しさを得ても良いだろう。

それでも、正確に操れることは間違いない。安心感も高い。

シンプルな仕様で軽い車重 燃費も良好

風切り音は、小さめのフロントガラスのおかげで小さめ。エンジン音も、高域まで引っ張っても耳障りなほどではない。2008の方が、より快適かもしれないが。

車重は、試乗車の1.2 スタイル・グレードで、AUTOCARの計測では僅か1122kg。電動化技術が一切載らない仕様が功を奏したといえ、ここまで軽い量産車は珍しい。

プジョー208 1.2 100PS スタイル(英国仕様)
プジョー208 1.2 100PS スタイル(英国仕様)

燃費は、複合的な条件を走らせた今回は平均で20.8km/Lと、良好な結果を得られた。44L入るガソリンタンクを満たせば、800km以上走れる計算になる。高速道路の巡航でも18.2km/Lと、小さなハッチバックとしては優秀だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

プジョー208 1.2 スタイルの前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事