いかにしてスーパーカーは進化した? そもそもスーパーカーとは? 「代表作」を振り返る

公開 : 2017.06.24 11:55  更新 : 2017.06.24 17:22

過去60年以上に渡って、世のエンスージァストの心を掴んで放さずにいるスーパーカー。その歩みをたどります。しかしそもそも、スーパーカーってなんでしょう?

text:Andrew Frankel(アンドリュー・フランケル)

 

「スーパーカー」の定義

スーパーカーの定義は人それぞれで、実はコンセンサスがない。となれば、最初のスーパーカーが何か、特定するのも難しい。

最近、AUTOCARのバックナンバーに目を通していたら、1938年のラゴンダV12の試乗記事に、スーパーカーという文言を見つけた。しかし、それはちょっと古すぎるとご指摘を受けそうだ。

この呼び名が現在のような意味合いで一般化したのは1970年代だと思われるが、それは1960年代半ば以降に生産された一部のクルマを指すものだった。

しかし、個人的な見解を述べさせてもらえば、真に初のスーパーカーはガルウイングのメルセデス・ベンツ300SLだろう。それから63年後に登場した後継者とも言うべきメルセデスAMG GT Rと並べても、むしろそれを圧倒するほどのオーラを感じさせる。

この初代SLは、ロードカーの限界に関するわれわれの認識をリセットした最初のクルマだといえる。1954年当時にもハイパフォーマンスカーは存在したが、それは緩い法規のおかげで公道を走ることを許されたレーシングカーだった。しかし、SLはそうではなかった。

実際、スーパーカーの要件は、その当時の水準を大きく凌ぐパフォーマンスを備えるだけでなく、あくまでストリートユースを念頭に置いて設計されていることが求められる。

加えて、エキゾチックなスタイリングやずば抜けて高い価格、ピュアなドライビングプレジャーを与えてくれることも備わっていれば、誰もがスーパーカーだと認めるものとなる。

セダンやワゴン、最近ではSUVにも、途轍もない動力性能を備えたものはある。しかし、ロバに縞柄を描いても虎にはならないように、いかに高性能でもそれらをスーパーカーと呼ぶことはできない。

AMG GTと300SLは、同じメーカーが生み出したFRレイアウトの2シーターだという以上に、スーパーカーとして正しいアプローチを取っている点が共通する。どちらも実用性が高いわけではないが、長時間乗っていても苦痛ではないのだ。


それらが、もっと身近なスポーツカーに動力性能と存在感だけで勝っているレースマシンであれば、そうはいかないところだ。

それどころか、どちらも一日中でもドライブを楽しみたくなるようなクルマである。高速道路を流していても、我慢を強いられるどころか、むしろそれを楽しめる。

また、その先に辿り着いた山あいのワインディングロードでも、ほかでは味わえないようなレベルのエンターテインメントをもたらしてくれる。

プライオリティはあくまで公道にあるわけだ。とはいえ、一旦サーキットに持ち込めば、同時代のいかなるクルマにも負けない走りをみせてくれる。

300SLからAMG GT Rに至る進化をグラフにすると、緩やかな上昇曲線となるだろう。

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