見た目は「良い方のターミネーター」 仏ルノー工場でタイヤを運ぶ人型ロボット『カルビン』(後編) 中国企業との競争に不可欠な存在
公開 : 2026.08.01 07:10
ルノーは仏ドゥエー工場の生産ラインで自律型ロボット『カルビン』の試験運用を行っています。既存の工場設備を維持したまま、人間によく似た動作で負担の大きい作業を淡々とこなします。その様子を詳しく紹介します。
滑らかに動く必要はない
カルビンはまるで酔っぱらいの学生のようにふらふら歩き、震えながらタイヤを持ち上げる。
筆者は、その動きがあまり洗練されていないように見えると指摘した。すると、カルビンの監督者は嫌そうな顔をしながら、これはまったく正常な動作であり、設計通りのものだときっぱりと告げた。

ふらついた歩みと震えは、タイヤが非常に重く掴みにくいことが一因だが、どちらも意図された通りの動きなのだという。単にバランスと効率の両面で最適なのであり、わざわざ動作を滑らかにするためにエネルギーを浪費する必要はないのだ。
今回の訪問の本来の目的は、実は「人間対機械」の対決に参加することだったが、カルビンはあまりにも貴重な存在なので、無謀な真似をするリスクは冒せないということになった。それでも構わない。ライン上にタイヤを1セット積み上げるだけの単純なレースなら、あのガタガタした機械に圧勝できる自信がある。
コンスタンザ氏によれば、それはその通りだが、まったくの的外れだという。
「人間の質とパワーは依然として優れています。しかし、現実問題として、人間はこのような身体に負担がかかる作業を長く続けられないのです。ご想像の通り、これを1分間に4回、8時間続けるというのは実に過酷な作業です。フランスには現在、200万件の重労働があり、さらに40万件の求人があります。欧州全体では1500万件に上ります。解決への道のりは長いですが、それがわたし達の最優先課題です」
共感を覚えるほど人間味がある
もしカルビンと競争することになったら、筆者は『うさぎとかめ』のうさぎのように最初に速さを見せつけた後、(油断して昼寝するのではなく)身体の痛みに耐えきれず倒れてしまうだろう。
奇妙なことに、筆者はカルビンに対して同情を覚えている。なんでも擬人化するのは人間の本性だが、ここでは人間と機械の間に真の近しさを感じる。コンスタンザ氏は、カルビンの監督を赤ちゃんの世話に例えている。そして、メタな話で恐縮だが、筆者はこの記事を書いている間、「彼女」という代名詞を何度も修正した。なぜなら、カルビンは驚くほど有機的な存在に感じられるからだ。

もしカルビンが自由の身になったらどうなるのか、つい考えてしまう。彼女の脳は人工知能なのだから、理論上は自分がやりたいことについて自分で決断できるはずだ。彼女は田舎へと逃げ出すだろうか。そしてピノキオのように、本物の少年、いや、少女として生きようとするだろうか。……筆者は疲れて頭がおかしくなったのだろうか?
コンスタンザ氏はこう安心させてくれた。「これは今年最も馬鹿げた質問の1つですが、まさにその通りです。問題は、LLM(大規模言語モデルAI)のようなニューラルネットワークに頼ると、その成功確率は十分には高くないということです」

















































