70年以上の月日を重ねた名車が約1900kmを走る メルセデス・ベンツ300SLでミッレミリア2026へ(2) 速度に関係なく素晴らしい
公開 : 2026.08.01 17:50
製造11台と、超希少なW194型メルセデス・ベンツ300SL。メーカーが所有する3台のうち1台が、マット・プライヤーへと託されました。6月に開催されたミッレミリア2026に挑むUK編集部のレポートです。
もくじ
ー走る速度に関係なく素晴らしい
ー一切のアシストは備わらず、すべてドライバー次第
ー華やかなスタイリングが与えられたW198型
ー特に惚れ惚れする4500rpm前後の響き
ー番外編:300SLRの栄光と悲劇
走る速度に関係なく素晴らしい
W194型メルセデス・ベンツ300SLは、走る速度に関係なく素晴らしい。製造品質に、一切の妥協はない。スターターボタンを押し、アクセルペダルを何度か傾けると、3.0L直列6気筒エンジンが始動。クラッチペダルは重いが、繋がりを把握しやすい。
ダッシュボードからは、傘の柄のようなハンドブレーキ・レバー。S字へ折れたシフトレバーは、ストロークが長く動きは渋いが、間違ってギアを選ぶ可能性はほぼない。そっとクラッチを繋げば、滑らかに発進できる。

ギア比はワイドで、トルクバンドは広い。すぐに2速へ変速しても、たくましく速度を乗せていく。偽りのない排気音が、ボディサイドの右側から突き出た、エグゾーストパイプから放たれる。窓は開きっぱなしだから、石壁で反響音が鼓膜を震わせる。
6000rpmまで引っ張れるが、助手席のマーカス・ブライトシュヴェルト氏は、抑えて欲しいと話す。サウンドは、ビッグシックスの典型と異なり、期待ほどスムーズではない。圧倒される加速力ではないが、颯爽と周囲のクルマを引き離せる。
一切のアシストは備わらず、すべてドライバー次第
ステアリングは、直進時の感触がやや曖昧で、リムは僅かに変形する。それでも、カーブへ飛び込めば胸がすくほどクイック。負荷と同時に重く転じ、手応えが好ましい。ダンロップSPスポーツ・タイヤから、路面状況が的確に届けられる。
重量配分はフロント寄りで、それを感じ取れる。最大の弱点は、スイングアクスル式のリアサスペンション。少し積極的に旋回すると、若干の不安定さが現れる。一切のアシストは備わらず、すべてはドライバー次第。万が一のリカバリーも。

路面の凹凸は、ソリッドな感触とともに受け流され、現代的なグランドツアラーへ近い雰囲気も漂わせる。1950年代のレーシングドライバーは、アクセルペダルの加減で痛快なテールスライドを連発したはず。
W194型300SLは、実際に好成績を残している。ル・マン24時間レースやカレラ・パナメリカーナで優勝し、ニュルブルクリンクでの耐久レースでは1位から4位を独占した。
華やかなスタイリングが与えられたW198型
他方、当時の北米でメルセデス・ベンツの輸入代理店を営んでいたマックス・ホフマン氏は、好景気の市場へ向けて300SLの公道仕様を求めた。そこで1954年に誕生したのが、W198型の300SL。当初、彼は1000台の注文を約束していたそうだ。
W194の強みを継承しつつ、華やかなスタイリングが与えられたW198型は、世界初のスーパーカーの1台と呼んでいい。3.0Lの直6エンジンや4速MTは変わらないが、燃料供給はインジェクションで、最高出力は177psではなく243psが主張された。

今回のミッレミリアにも、複数のW198型が参戦しており、少し運転させてもらう。ガルウイングドアを潜って乗り込むのは簡単ではないものの、ステアリングホイールはヒンジで傾けられ、乗降性には配慮されている。
シフトレバーは、トランスミッショントンネルの直上。内装はW194型より豪華でも、SLだという印象はしっかり濃い。










































































































