レクサスLM 詳細データテスト 後席は快適至極 不足気味のパワートレインとシャシー 静粛性に盲点

公開 : 2024.02.24 20:25  更新 : 2024.03.17 10:33

意匠と技術 ★★★★★★★☆☆☆

メルセデス・ベンツVクラスフォルクスワーゲン・トランスポーターなどバン系モデルをベースに、アフターマーケットで高級乗用車にコンバートされたものは目新しくない。ところが、メーカー自身がそれを企画・製造するというのは斬新だ。

ベースとなるTNGA−Kは商用車用ではなく、レクサスではNXやRXにも用いられる、トヨタのFF乗用車用プラットフォームだ。無論、それぞれのクルマに応じて設計が最適化されるのは、LMにも言えることだ。

英国仕様のパワートレインは2.5L自然吸気がベースの、プラグインではないハイブリッド。FFと電気式4WDが設定される。
英国仕様のパワートレインは2.5L自然吸気がベースの、プラグインではないハイブリッド。FFと電気式4WDが設定される。    JACK HARRISON

結果として生まれたのは、全長5m超、全高2m近い、バン風のフォルムを持ったクルマだ。室内空間を最大化するため、できるだけキャビンフォワードに設計されている。

こうして生まれた、そびえ立つようなレクサスの新型車は、価格もまたフラッグシップサルーンのLSに匹敵する高みにある。背の高さはまったく異なるこの2台、LMのオーナーがスタイリッシュでソソるルックスを欲することはないはずだ。実際、これでレクサスに文句を言うのは、高級車はローフォルムを保つべきだと積極的に考えるひとびとくらいだろう。しかも、そういう主張は、すでに高級SUV全盛の現代ではすでに主流ではない。

シャシーの素材はおおむね高張力スティールだが、巨大なサイドドアはフロントのスイング式もリアの電動スライド式もアルミ。モノコックはレーザースクリューウェルデッド工法に、剛性向上と制振に効果を発揮する構造用用接着剤と、適材適所のブレース追加が加えられている。

パネルギャップは縮小され、これにより風切り音の低減も図られた。エンジンルームやホイールハウス、ダッシュボード裏側の遮音や振動対策も入念に行われている。ボンネット上部とAピラーも風切り音低減に配慮したデザインで、さらに全周にわたって遮音ガラスを用いる念の入れようだ。

サスペンションは四輪独立で、フロントがストラット、リアがダブルウィッシュボーン。スプリングはコイルで、エアサスの設定はない。ただし、ダンパーはAVSことソレノイドを用いたアクティブ可変ダンパーを装着し、ピッチやロール、波打ちに対応する。このほか、レクサス初採用となる周波数選択式バルブを備えたパッシブダンパーも設定される。

英国仕様はガソリンハイブリッドの350hのみ。2.5Lの4気筒に駆動用モーターを組み合わせたFF車と、リアにもモーターを積んだ、前後駆動系に機械的な連結のない電気式4WDが用意される。テスト車は4WDだ。

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