Sクラスやベンテイガへ迫る訴求力 レクサスLMへ英国試乗(2) 革新的なワンボックスの高級モデル

公開 : 2023.09.29 19:06  更新 : 2024.01.29 13:40

サルーンとは異なるスタイルで、高級車市場へ一石を投じるLM プライベートジェットのようなインテリア 革新的なモデルだと英国編集部は評価

個室のように静かで広々とした車内

レクサスLMで、多くの役員と一緒に移動する必要があるなら、7シーターが好適。リアシート前の48インチ・モニターが、14.0インチのフリップダウン・モニターへ置き換わり、冷蔵庫なども省かれるが、車内は広々としたままだ。

2列目だけでなく3列目でも、大人がリラックスできる空間が確保されている。前方の見通しが良くなり、4シーター仕様より開放感も増す。

レクサスLM(欧州仕様)
レクサスLM(欧州仕様)

3列目のシートは折り畳め、必要に応じて荷室の容量を広げられる。ただし、高級車に相応しい処理とはいえないだろう。

走行中の車内は、個室のように静か。リア・サスペンションは路面の凹凸を滑らかにいなすダブルウィッシュボーン式で、アクティブ・ノイズキャンセリング機能も実装される。余程大きな騒音が外で放たれていない限り、乗員の耳へ届くことはない。

風切り音などは僅かに聞こえるが、ラグジュアリーな雰囲気を濁すほど、車内へ響くことはない。レクサスの技術者によれば、ストレスを感じるような極度の沈黙をあえて避けたのだという。

車内には実際に押せるハードスイッチなどが残され、いずれもが高品質。豪華さを高めている。タッチモニターへ集約することが、最善の解決策ではないことを示している。

目を閉じてノブを動かせば、シートのサイドサポートを望ましい位置へ簡単に設定できる。音楽のボリュームも悩まず変更できる。リラックスしたオーナーの気分を乱すことはない。

馴染みやすさや使い勝手へ配慮された前席

フロントシート側はというと、リアシートとは異なるコンセプトでデザインされている。新しいNXやRXと同じ、馬の「手綱」というテーマを掲げ、設えられたそうだ。

レクサスが表現する手綱とは、運転中のドライバーが手や目線を大きく動かすことなく、必要な操作を行え、前方の道路へ集中し続けられるレイアウトを意味する。うっかり舗装の剥がれた穴を通過し、リアシートのシャンパンをこぼすわけにはいかない。

レクサスLM(欧州仕様)
レクサスLM(欧州仕様)

確かに、センターコンソールは手もとの高い位置へ伸び、インフォテインメント・システムのインターフェイスも入念に練られた印象がある。マルチファンクション・ステアリングホイールも、直感的に各機能のボタンへ触れられるように感じた。

リアシートほどの豪奢さはなく、馴染みやすさや使い勝手などが重視されている。1日中、慎重に運転をし続ける環境として、価値あるデザインだといっていい。

加えて、フロントシートの快適性はリアシートに劣っていない。座り心地が良くサポート性に優れ、調整域も非常に大きい。

運転支援システムも多機能。運転の邪魔をすることなく、しっかりアシストしてくれる。長距離をこなす運転手にとっては、心強いはず。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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