テスラ・モデルS 60

公開 : 2014.11.28 23:40  更新 : 2017.05.29 18:47

85kWhのモデルはエア-スプリングと強剛なスタビライザーが組み合わされ、21インチのホイールを履くのに対し、モデルS 60は標準的なコイルスプリング式のサスペンションを採用。このおかげで大部分の環境において当たりがやわらかくなっている。

85だと衝撃を露骨に伝えてくるような路面でも、60はこともなげにさらりと凹凸をいなしてくれる。ただし凹凸が連続するような場合は、落ち着きを失うことがあるので注意が必要だ。

その見返りとも言うべきか、小径のタイヤを履いているにもかかわらずステアリングに曖昧さがなく、ボディ・ロールは最小限に抑えられ、粘り強さも並外れている。ミドル-コーナーで意図的にガスペダルを踏みつけた場合には、最終的に後輪がずるりと滑りはじめることになるが、この際のマナーもマイルドだ。

静止状態から加速を試みた際の印象は、V6ガソリン・エンジンに近い。さらに強力なモデルSにようなショックを覚えるほどの炸裂感はなく、裏を返せば、特に湿った路面において扱いやすいと感じた。さすがに100km/h近い速度域ではパワー不足を感じるものの、それでも速いクルマであることは間違いない。

しかしエントリー・モデルであるだけに、豪奢な ’テスラ体験’ は期待しないほうがいいだろう。ただしこちらのモデルにも、巨大スクリーンやヒーター付きのレザー・シートなど、ライバルに引けをとらない最低限の装備は用意されているから、それほど憂慮する必要はない。

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