【レーシングドライバー塚本ナナミのスーパー耐久参戦記】第3回:トップから一転、夜のクラッシュ 富士24時間で味わった一番苦い経験

公開 : 2026.06.18 17:05

レーシングドライバーの塚本ナナミ選手によるスーパー耐久参戦記です。2026年シーズンにフル参戦というチャレンジを、本人自ら語ります。第3回は、6月6、7日に富士スピードウェイで行われた24時間レースの様子です。

台風直撃、そして24時間という特殊な戦い

みなさん、こんにちは。レーシングドライバーの塚本ナナミです。

私にとって今年で3度目となるスーパー耐久24時間レース(日本で唯一、24時間ノンストップで走り続ける耐久レース)に、AndLegal Racing 822号車(ホンダフィットRS/ST-5Fクラス)で挑みました。

ナイス判断で、台風欠航の前に飛行機で集合!
ナイス判断で、台風欠航の前に飛行機で集合!    佐々木純也

過去2回はどちらも天候が荒れ、長い赤旗中断(事故などでレースを一時止めること)を経験してきましたが、今年は直前に台風が直撃。サーキットが急きょ臨時休業になるほどで、レース前から張り詰めた空気でした。

私たちのチームはメンバーの多くが北海道から富士スピードウェイへ移動するため、『飛行機が飛ばなければ間に合わない』という状況。そこでメンバーが素早く、そして的確な判断でチケットを前倒しに変更し、早めのサーキット入りを決めてくれました。なんとその直後に欠航が出たので、この良い判断には本当に助けられました。

24時間レースは、エンジンやミッション、足回りといった特に消耗するパーツを、24時間壊さずに持たせなければなりません。

だから攻めるだけでなく、パーツをいたわる運転が求められ、さらに燃費をおさえながら速く走るという、普段とは少し違った走らせ方が必要になるのです。

トップ争いから、夜のクラッシュへ

幸いレースウィークは晴天に恵まれ、たくさんのファンがピットウォークやスタートグリッドに遊びに来てくれました。私たちは訪れてくれる皆さんのためにオリジナルグッズも用意していたので、その喜ぶ笑顔を間近で見られたのは何より嬉しい時間でした。

今回は私がプロデュースするレースアンバサダー『TONEエンジェルス』のデビュー舞台でもあり、良いお天気の中で彼女たちをお披露目でき、プロデューサーとしても胸がいっぱいになりました。

私がプロデュースするレースアンバサダー『TONEエンジェルス』。応援してくださいね。
私がプロデュースするレースアンバサダー『TONEエンジェルス』。応援してくださいね。    Mario

公式練習では、燃費を稼げる場所をさがしながらタイムを落とさず、これまでにない技術が求められました。チーム内で工夫を共有し、全ドライバーのタイムと燃費を揃えることに成功。

一方、予選は燃費を気にしない一発勝負です。それまで燃費走行ばかり試してきた私は、本番で一気に攻めの走りへ切り替えるというAドライバーならではの難しさに直面しましたが、仲間の助言に支えられ、自己ベストでクラス3番手を獲得しました。

決勝はスタートドライバーが好ペースでトップへ。順調にバトンをつなぎ、トップ争いのまま夜間走行へ入ります。

私の担当は夜のスティント(自分の走行担当区間)。夜間は視界が限られて難易度が一気に上がり、事前トレーニングなしでは走れないルールがあるほど特殊です。

トップを走るマシンを託された高揚と緊張は、今でも忘れられません。私がバトンを受けた時、822号車はトップを走っていました。

記事に関わった人々

  • 執筆

    塚本ナナミ

    Nanami Tsukamoto

    ブラジル・サンパウロ生まれ、山梨育ち。やまなし大使を務めるレーシングドライバー。GAZOO 86/BRZレースで経験を積み、2015年にはポルシェカレラカップジャパンで年間チームチャンピオンを獲得した。海外ではニュルブルクリンクVLN耐久レースに加え、アメリカ、タイ、インドネシアでのドリフト競技にも参戦。競技の最前線で培った知見をもとに、自動車メーカーと連携した女性向けの脱ペーパードライバー講習や企業向けドライビング講習を行うほか、ゲームやアニメを活用し、運転する楽しさと交通安全の大切さを伝える活動にも取り組んでいる。

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