ボーフェンジーペン・ザガート(1) アルピナ創業家自社ブランド第1弾 BMW M4コンペがベースの極上GT

公開 : 2026.06.19 18:05

アルピナ創業家によるボーフェンジーペン・オートモービルの第1弾、ザガート。BMW M4 コンペティション・コンバーチブルを土台に、無二のグランドツアラーが誕生しました。UK編集部が試乗します。

新ブランドを生み出したアルピナ創業家

ドイツ南部の伝統ある小さな町、ブッフローエ。古い習慣が、今も根強く残っている。そこを拠点にアルピナを創業したボーフェンジーペン家は、ブランドに関わる権利をBMWへ譲渡した。60年という歴史へ、別れを告げるように。

そして彼らは、ボーフェンジーペン・オートモービルを立ち上げ、新たなモデルを生み出した。筆者がオーストリアのザルツブルクリンク・サーキットで走らせているのが、その1台。フロントスカートには、力強い書体で『BOVENSIEPEN』と記されている。

ボーフェンジーペン・ザガート(欧州仕様)
ボーフェンジーペン・ザガート(欧州仕様)

アルピナの頃より並ぶアルファベットは多いものの、雰囲気は間違いなく見覚えがあるもの。一家が新しいアルピナを発表していた頃、ザルツブルクリンクへ向かう試乗コースは定番だった。パドックには、タイヤやスペアパーツが山積みにされていた。

ラグジュアリーなグランドツアラーの佇まいと、サーキットは少し不釣り合いにも思えた。とはいえ、実力を引き出すうえで望ましい場所でもあった。最新のボーフェンジーペン・ザガートも、まったく一致する。

スタイリングはザガート社の原田紀彦氏

英国価格は、約31万9000ポンド(約6699万円)。スタイリングを手掛けたのは、イタリア・ミラノのカロッツエリア、ザガート社の原田則彦氏。アストン マーティンDB12に並ぶモデルでありつつ、コレクターズアイテムとしての希少性も狙われている。

サーキットを、キリキリに攻め込むクルマではない。豊かなトルクで安楽にクルージングする、艶やかなレザーインテリアを備えた、ラグジュアリー・グランドツアラーだ。

ボーフェンジーペン・ザガート(欧州仕様)
ボーフェンジーペン・ザガート(欧州仕様)

ベースとなったのは、BMW M4 コンペティション・コンバーチブル。現CEOのアンドレアス・ボーヴェンジーペン氏が愛する、ピラーレスデザインを実現するため、クーペより車重がかさむコンバーチブルが選ばれたという。

1948年以来、ザガートの象徴となってきたダブルバブル・ルーフを、モノコック構造の切断なしに生み出すこともできる。ルーフからリアウインドウ、トランクリッドへ続く一連の曲面は極めて優雅。見どころの1つにある。

カーボン製ボディパネルは12枚で50kg

ボンネットは、通常のM4 コンバーチブルより100mm長い。バンパーには、演出が主な目的に思えそうなほど大きい、エアインテークが開いている。ヘッドライトは、基本構造が許す限り低く据えられ、エレガントでありつつアグレッシブ。記憶に残る表情だ。

12枚で構成されるカーボン製ボディパネルは、固定用金具を含めても50kg。フロントガラスを支えるヘッダーレールと、ルーフパネルの間には僅かなギャップがあるものの、仕上がりは非常に高い。

ボーフェンジーペン・ザガート(欧州仕様)
ボーフェンジーペン・ザガート(欧州仕様)

唯一、カーボン製のリアフェンダー奥には、ベースのスチール製パネルが残されている。衝突安全性を担う重要な部分で、残しておく必要があったためだ。

見事なホイールは鍛造品で、タイヤはミシュラン・パイロットスポーツ4S。サイズは前が285/30、後ろが295/25とのこと。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ボーフェンジーペン・ザガートの前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事