クルマ漬けの毎日から

2026.06.15

フェラーリ初のEV『ルーチェ』を見て、現時点で感じたことを語ります。

フェラーリは電動化で何を守るか?『ルーチェ』を見て思ったこと【クロプリー編集長コラム】

もくじ

複数の観点から「好印象」

複数の観点から「好印象」

フェラーリ初のEV『ルーチェ』は大いに注目を集めているが、ルカ・ディ・モンテゼーモロ氏(フェラーリ元会長)が否定的なコメントをしたと聞き、残念に思った。

こういう状況で、かつての経営トップにできる最善の振る舞いは、黙っていることだと私は思う。

というのも、モンテゼーモロ氏が、セルジオ・マルキオンネ氏(当時フィアットグループのトップ)との最後の政治的戦いに敗れてからいまや12年も経っているし、実のところ、その退任以前からフェラーリ本社の歯車は狂い始めていたからだ。

ルーチェについては、複数の観点から私は好印象を持っている。

内燃機関から電動への変化が、つねに自動車業界に激震をもたらしてきたことを考えると、フェラーリの経営陣が新たなデザイナー陣を起用したことは賢明な判断だった。

彼らの仕事は、フェラーリの愛好家たちが親しみ、また愛してきた「フェラーリらしさ」を感じるデザインや思想の流れを断ち切るものにはならないはずだ。

また、5ドアのサルーンとしたことも賢い判断だといえる。フェラーリの将来への可能性が広がるからだ。

本当のところ自分がどう考えるかは、実際にルーチェが他の大型車と並んでいる姿を見るまでわからないが、現時点で強く感じていることがある。

それは、ジョナサン・アイヴとマーク・ニューソンは、ノーズの長さとリヤデッキのデザインについて、大きな課題に直面していたにちがいないということ。

ジャガー初のフル電動SUV『Iペイス』を手掛けたクリエイターたちが、まさにそうであったように。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 翻訳

    小島薫

    Kaoru Kojima

    ドイツ自動車メーカーの日本法人に在籍し、オーナーズマニュアルの制作を担当。その後フリーランスで翻訳をはじめる。クルマはハッチバックを10台以上乗り継ぎ、現在はクーペを楽しんでいる。趣味はピアノ。

関連テーマ

 
 

おすすめ記事