【ドイツで感動、では日本の速度域では?】ブッフローエの最終モデル!アルピナB3GT&B4GT

公開 : 2025.04.10 11:45

空気圧にも秘密が? カバレッジの理由

ちなみに、B4GTが履くピレリ・タイヤの指定空気圧は3.4bar(340kpa)。このレベルの超高圧になると、例えばエアサス装備のフルサイズモデルでも乗り心地が悪化する。にもかかわらず、金属スプリングでしなやかな乗り心地を実現しているという点がアルピナのアドバンテージなのだ。

彼らが標榜する300km/hオーバーの巡航最高速に備え、高めの空気圧でタイヤの余計な動きを極限まで抑え込む。となると低速域でボディにバシバシと入力が入りそうなところだが、むしろたわみの少ないタイヤのおかげで電子制御ダンパーのチューニング精度が上げられる。だからアルピナのカバレッジは驚くほど広く、それを『マジック』と呼ぶ人がいるのだ。

B3GTの方が、ステアリングに対するレスポンスが速い印象。
B3GTの方が、ステアリングに対するレスポンスが速い印象。    佐藤亮太

GT化による基本的な伸びしろはフロントボンネット内に専用の補強が追加されたB3GTに乗り換えてもほぼ同じだった。そして両車のキャラクターの違いも、昨年ドイツで感じた通りだ(【高出力を悟らせない】 BMWアルピナB3 GT/ツーリング ブッフローエ・アルピナ、その最高到達点/【時間をかけて開発する意味】 BMWアルピナB4 GT リムジンとグランクーペ、個性の違いはどこにある?:リンク下記参照)。

B3GTの方がステアリングに対するレスポンスが速く、総じて曲がりたがり。対するB4GTは2サイズ太いリアタイヤの設定からも伺える通り、直進していてもスタビリティの高さが感じられ、1サイズ大きな車体に感じられるのだ。

ドイツの超高速域だけでなく普段の場所で2台を試乗できたことはやはり貴重な機会だった。特に日本の一般的な速度域まできちんと作り込まれていることが確認できたことは今回の最大の収穫だった。ブッフローエ最終のアルピナは史上最高レベルと断言できる仕上がりだったのである。

BMWアルピナB3GT&B4GTのスペック

BMWアルピナB3GT
全長×全幅×全高:4725×1825×1440mm
ホイールベース:2850mm
車両重量:1860kg
エンジン:直列6気筒DOHC
総排気量:2992cc
最高出力:389kW(529ps)/6250-6500rpm
最大トルク:730Nm(74.4kg-m)/2500-4500rpm
圧縮比:9.3
トランスミッション:8速AT
巡行最高速度:308km/h
車両価格:1650万円
取材車車両価格:1880万6000円

BMWアルピナB4GT
全長×全幅×全高:4800×1850×1440mm
ホイールベース:2855mm
車両重量:1930kg
エンジン:直列6気筒DOHC
総排気量:2992cc
最高出力:389kW(529ps)/6250-6500rpm
最大トルク:730Nm(74.4kg-m)/2500-4500rpm
圧縮比:9.3
トランスミッション:8速AT
巡行最高速度:305km/h
車両価格:1710万円
取材車車両価格:1984万9000円

B4GTは直進していてもスタビリティの高さが感じられる。
B4GTは直進していてもスタビリティの高さが感じられる。    佐藤亮太

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    佐藤亮太

    Ryota Sato

    1980年生まれ。出版社・制作会社で編集経験を積んだのち、クルマ撮影の楽しさに魅了され独学で撮影技術を習得。2015年に独立し、ロケやスタジオ、レース等ジャンルを問わない撮影を信条とする。現在はスーパーカーブランドをはじめとする自動車メーカーのオフィシャル撮影や、広告・web・雑誌の表紙を飾る写真など、様々な媒体向けに撮影。ライフワークとしてハッセルブラッドを使い、生涯のテーマとしてクラシックカーを撮影し続けている。佐藤亮太公式HPhttps://photoroom-sakkas.jp/ 日本写真家協会(JPS)会員

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