SUVではなくステーションワゴンという選択肢 新型 フォルクスワーゲン・パサート(2) 燃費良好のPHEV

公開 : 2026.02.03 18:10

9代目パサートはステーションワゴンのみ 全長4917mmへ拡大 後席は先代メルセデス・ベンツEクラス以上の広さ モーター補助で高速域まで余裕なプラグインHV 心地よく穏やかに先を急げる UK編集部が試乗

駆動用モーターのアシストで高速域まで余裕

9代目へ進化した、フォルクスワーゲンパサート。全長は4917mmもあるが、プラグイン・ハイブリッドのパワートレインは、ゴルフのそれと同じ。車重も1774kgとだいぶ重いが、204ps版の0-100km/h加速は7.2秒と、同タイムで処理してみせた。

1.5L 4気筒ガソリンターボは、高域で若干息苦しそうなノイズを響かせる。それでも日常的な環境の限り、115psの駆動用モーターが低域からアシストし、3000rpm以上回すことは殆どない。高速道路の速度域まで、余裕を感じながら走れる。

フォルクスワーゲン・パサート eハイブリッド 204ps エレガンス(英国仕様)
フォルクスワーゲン・パサート eハイブリッド 204ps エレガンス(英国仕様)

6速デュアルクラッチATにはスポーツ・モードもあるが、筆者はデフォルトのまま、機械任せの変速で不満はなかった。マニュアル・モードでシフトダウンさせると、反応が遅れ気味で、ギクシャクするような場面がある。

プラグイン・ハイブリッドだから、EVモードも実装する。その場合、0-100km/h加速は11.2秒。一般的な流れへ合わせられる、充分なパワーを得られる。アクセルペダルを踏み込みすぎなければ、110km/hまで加速することも可能だ。

ソリッドなブレーキ 心地よく穏やかに先を急げる

最高出力は、試乗車の204psの他、272ps版もあるが、筆者なら前者を選ぶだろう。確かに速さは1段勝るものの、洗練性や運転の楽しさが、向上するわけではないからだ。

150psのマイルド・ハイブリッドでも、滑らかに大きなワゴンボディを引っ張れる。4500rpmまで回せば頼もしいトルクを得られ、日常的な交通で不満を覚えることはないはず。6000rpmを過ぎると、荒っぽさが伝わってくるけれど。

フォルクスワーゲン・パサート eハイブリッド 204ps エレガンス(英国仕様)
フォルクスワーゲン・パサート eハイブリッド 204ps エレガンス(英国仕様)

プラグイン・ハイブリッドのブレーキペダルは、ソリッドな踏み心地で制動力を調整しやすい。回生ブレーキの効きは自然で、強さを調整できる他、惰性走行にも対応する。

グリップ力は、濡れた路面でも良好。ステアリングは、負荷が増すほど手応えも増し、安心感を抱きやすい。スポーティさは控えめでも、心地よく穏やかに先を急げる。全体が調和し、従順な印象がとてもパサートらしい。車内ノイズも抑えられている。

乗り心地は低速域で硬め 燃費も電費も良好

乗り心地は、標準のダンパーでは、低速域でやや落ち着きに欠ける。速度が上昇すれば、しっとり滑らかさも増すが、オプションのアダプティブダンパーは検討の価値あり。

その可変式ダンパーは、ソフト側の設定でツギハギの多い市街地へ対応。ハード側にすれば、引き締まった姿勢制御を叶えつつ、乗り心地が明確に悪くなるわけでもない。またアルミホイールは、19インチより17インチの方が明らかに快適性では上だ。

フォルクスワーゲン・パサート eハイブリッド 204ps エレガンス(英国仕様)
フォルクスワーゲン・パサート eハイブリッド 204ps エレガンス(英国仕様)

運転支援システムは、車線維持支援やアダプティブ・クルーズコントロール、制限速度警告などが標準。制御は煮詰められており、オンのままでも自然に高速道路を運転できるはず。発進停止が多い状況では、やや加減速が急過ぎる印象ではあるが。

今回の試乗では、高速道路を交えた条件で、117kmを電気だけで走ることを確認できた。電費は5.7km/kWhと、バッテリーEVに並ぶ数字といえる。駆動用バッテリーの充電量が乏しい状態での燃費は、16.0km/L前後で、こちらも良好だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    役職:編集アシスタント
    2022年よりAUTOCARに加わり、ニュースデスクの一員として、新車発表や業界イベントの報道において重要な役割を担っている。印刷版やオンライン版の記事を執筆し、暇さえあればフィアット・パンダ100HP の故障について愚痴をこぼしている。産業界や社会問題に関するテーマを得意とする。これまで運転した中で最高のクルマはアルピーヌ A110 GTだが、自分には手が出せない価格であることが唯一の不満。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

新型 フォルクスワーゲン・パサートの前後関係

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