ダイハツ初の量産EVは軽商用で登場! 見た目はエンジン車と同じでも中身は別物 後発なのにライバルより価格が高い理由とは?

公開 : 2026.02.04 07:05

2月2日、ダイハツは軽商用車の『ハイゼット・カーゴ』と『アトレー』をベースにした同社初のEV、『e-ハイゼット・カーゴ』と『e-アトレー』を発売しました。篠原政明が、開発担当者のコメントを交えて深掘りします。

ダイハツ初のEVは商用車で登場

2月2日、ダイハツ工業(以下、ダイハツ)は軽商用車の『ハイゼット・カーゴ』と『アトレー』をベースにしたダイハツ初の量産バッテリー電気自動車(BEV)、『e-ハイゼット・カーゴ』と『e-アトレー』を発売した。

そう、ダイハツ初のEVは、商用車として登場したのである。そこで、本稿では軽商用EVにフィーチャーして話を進めたい。

今回のプロジェクト責任者である、クルマ開発本部製品企画部の齋藤寛(さいとう かん)主査。
今回のプロジェクト責任者である、クルマ開発本部製品企画部の齋藤寛(さいとう かん)主査。    平井大介

まず、バッテリー容量、WLTCモードの一充電走行距離、価格を軽商用EVのライバルと比較してみよう。

●ダイハツe-ハイゼット・カーゴ/e-アトレー
36.6kWh 257km 314万6000円〜346万5000円
三菱ミニキャブEV
20kWh 180km 243万1000円〜248万6000円
ホンダ N-VAN e:
29.6kWh 245km 269万9400円〜291万9400円

こうして見るとライバル車より価格は少し高めだが、やはりバッテリー容量(一充電走行距離の長さ)の違いが大きな要因なのだろうか? ダイハツで商品企画を担当する荒川史郎氏に伺ったところ、もちろんその違いが主ではあるが、装備や仕様、パッケージの違いもあるという。

商用バンの平均走行距離は1日50km程度

ユーザーがEVを安心して使うために、航続距離は大きなポイントだ。

ちなみに、商用バンのユーザーが1日に平均的に使う距離は50km程度だが、業者によって大きな差があり、地方の配送業者などでは1日で100km以上、建設関係でも年に何回かは100〜150kmも走るユーザーもいる。

床下にバッテリーを配置するが、室内スペースはそのまま。最低地上高が若干低くなった程度だ。
床下にバッテリーを配置するが、室内スペースはそのまま。最低地上高が若干低くなった程度だ。    平井大介

そうした点を鑑みて、またエアコン使用での航続距離の落ち込みなども考慮し、今回のバッテリー容量(航続距離)を決定したそう。

なお、軽商用車からEV開発を進めたのは、カーボンニュートラル化を進めるにあたり、軽自動車の6割を占める商用車から進めるのが効果的だから。そして大手配送会社など企業からのEV要望が強く、それに応えるためでもあったようだ。

商用車としては、軽トラックのEVも検討中だ。短距離での移動が多く、ガソリンスタンドまで遠いといった使用状況を考えると、軽トラックとEVの親和性は高い。となると、『e-ハイゼット・トラック』が登場する日は遠くないかもしれない。

1960年代から電気自動車を研究開発

今回のプロジェクト責任者である、齋藤寛主査にも話を伺った。

ダイハツの電気自動車研究開発自体は1960年代から始まっている。1970年の大阪万博では会場用EVを275台も走らせており、その後も1990年代には多摩ニュータウンにおける『ハイゼット・バンEV』やゴルフ場の電動カート(累計で約8000台)など、ダイハツは今回の『e-ハイゼット・カーゴ/e-アトレー』にいたるまで、FCV(燃料電池車)も含めて様々な電動化への開発を進めてきた。

EVに詳しいスタッフを新たに『電動師』と呼び、顧客をサポートするという。
EVに詳しいスタッフを新たに『電動師』と呼び、顧客をサポートするという。    平井大介

ダイハツにとっては、三菱が2011年に発売した『ミニキャブミーブ MiEV』(現行型はミニキャブEV)の登場が、軽商用EVの開発に拍車をかけたようだ。

齋藤氏は2018年ごろからEV開発に参画し、それまで実験部で培っていたNV、操縦安定性、乗り心地、熱、燃費といった問題を凝縮して、今回の軽商用EVに反映されている。

とはいえ、ベース車がある中でのEV開発。重いバッテリーをエンジン車と同じプラットフォームに搭載して、いかに性能を保ち、しかも荷室容量を変えないという点には苦労したという。

ブランニューでEVを作ったほうが楽なのでは? とも思えたが、ハイゼット・カーゴという好評を得ている商用車を使ったほうが、ユーザーに違和感なく乗り替えてもらえるという点も考慮したそうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事