アルファ・ロメオ 8C 2900B「バレーナ」(2) アルゼンチンでレースデビュー 戦時中はV12だった?
公開 : 2025.05.09 18:06
戦時中はV12エンジンでテストされていた?
オランダでアルファ・ロメオを専門とする職人、ラウル・サン・ジョルジ氏は、ラウマンのコレクションにも深く関与してきた。1台限りのバレーナは、当初悩みのタネだったという。見た目が酷くレストアを提案するものの、なかなか関心は示されなかったとか。
しかし、同僚のディノ・コニョラート氏もラウマンへ打診。最終的には本格的なレストアが始まった。博物館の倉庫に、オリジナル・ボディの大部分は保管されていた。本来付いていたフロントグリルまで発見できたという。

ディノの息子、パウロ・コニョラート氏は、コロンボが描いた1/25サイズの図面を入手。アルファ・ロメオのアーカイブで発見された、リア周りのスケッチも参考にしながら、再現用の図面製作を進めた。
「かつての図面を確認すると、リア側には2つのマフラー用の穴が描かれています。一方、オリジナルのインナーボディでは、片方の穴は溶接で塞がれていました。もしかすると、戦時中はV12エンジンでテストされていたのかもしれません」
「コロンボのV12ユニット、S10エンジンは3基が保管されており、バレーナにも理想的な仕様といえました。しかし、多額の予算を正当化するのには至らなかったのでしょう」。パウロが推測する。
この続きは、アルファ・ロメオ 8C 2900B「バレーナ」(3)にて。