アルファ・ロメオ 8C 2900B「バレーナ」(2) アルゼンチンでレースデビュー 戦時中はV12だった?

公開 : 2025.05.09 18:06

戦時中はV12エンジンでテストされていた?

オランダでアルファ・ロメオを専門とする職人、ラウル・サン・ジョルジ氏は、ラウマンのコレクションにも深く関与してきた。1台限りのバレーナは、当初悩みのタネだったという。見た目が酷くレストアを提案するものの、なかなか関心は示されなかったとか。

しかし、同僚のディノ・コニョラート氏もラウマンへ打診。最終的には本格的なレストアが始まった。博物館の倉庫に、オリジナル・ボディの大部分は保管されていた。本来付いていたフロントグリルまで発見できたという。

アルファ・ロメオ 8C 2900B コルサ・スペリメンターレ「バレーナ」(1941年式/ワンオフモデル)
アルファ・ロメオ 8C 2900B コルサ・スペリメンターレ「バレーナ」(1941年式/ワンオフモデル)    ジェームズ・マン(James Mann)

ディノの息子、パウロ・コニョラート氏は、コロンボが描いた1/25サイズの図面を入手。アルファ・ロメオのアーカイブで発見された、リア周りのスケッチも参考にしながら、再現用の図面製作を進めた。

「かつての図面を確認すると、リア側には2つのマフラー用の穴が描かれています。一方、オリジナルのインナーボディでは、片方の穴は溶接で塞がれていました。もしかすると、戦時中はV12エンジンでテストされていたのかもしれません」

「コロンボのV12ユニット、S10エンジンは3基が保管されており、バレーナにも理想的な仕様といえました。しかし、多額の予算を正当化するのには至らなかったのでしょう」。パウロが推測する。

この続きは、アルファ・ロメオ 8C 2900B「バレーナ」(3)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ミック・ウォルシュ

    Mick Walsh

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジェームズ・マン

    James Mann

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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