ホンモノの「ラテン気質」で誘惑! アルファ・ロメオ・ステルヴィオ・クアドリフォリオへ試乗 520psへ上昇

公開 : 2024.03.23 19:05

ステルヴィオ・クアドリフォリオが2024年仕様でアップデート ニュルも攻められる秀抜な動力性能と身体能力 熱い運転体験を想起させるインテリア 英国編集部が評価

ニュルも攻められる動力性能と身体能力

2016年のアメリカ・ロサンゼルス・モーターショー。アルファ・ロメオは、自社初となるSUVを発表した。

筋肉質で主張の強いスタイリングは、サルーンのジュリアとの差別化も充分。フェラーリの技術者を務めた、ジャンルカ・ピベッティ氏の設計によるエンジンが、間違いない逸品であることは確かめる前から明らかだった。

アルファ・ロメオ・ステルヴィオ・クアドリフォリオ(英国仕様)
アルファ・ロメオ・ステルヴィオ・クアドリフォリオ(英国仕様)

同社最高のハンドリングサルーン、ジュリア・クアドリフォリオを彷彿とさせる操縦性を、SUVに与えることにも成功していた。そんなステルヴィオ・クアドリフォリオが、2024年に向けてアップデートを受けた。

ボディサイズは、全長が4687mm、全幅が1903mmで、車重は1850kg。高性能SUVの中では、さほど巨大なわけではない。プラットフォームは、ジュリアと同じジョルジオ・アーキテクチャを採用する。

オールアルミの2.9L V6エンジンは、フェラーリのF154型ユニットとの関係性が強い。ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェを7分51秒8で周回できる、秀抜な動力性能と身体能力を秘めている。

このF154型はモジュール方式のV8エンジンで、フェラーリ488 ピスタやマセラティクアトロポルテ GTSにも載ったもの。2気筒が削られ、大きくはないボンネット内に収まるよう仕上げてある。

アップデートで520psへ 機械式LSDへ置換

最高出力は、従来から10ps増しの520ps。最大トルクは61.1kg-mを得た。トランスミッションは、ZF社製の8速オートマティック。四輪駆動システム「Q4」を搭載するが、通常は285/40サイズのリアタイヤへトルクが送られる。

リアの限界が近いと判断されると、最大50%のトルクがフロント側へ分配される。また2023年式までは、リアデフ内にクラッチを備え、必要に応じて左右のリアタイヤでもトルクが割り振られていた。

アルファ・ロメオ・ステルヴィオ・クアドリフォリオ(英国仕様)
アルファ・ロメオ・ステルヴィオ・クアドリフォリオ(英国仕様)

だが、2024年仕様では機械式リミテッドスリップ・デフ(LSD)へ置換。安価なアイテムといえるが、反応を予想しやすく、直感的になったといえる。

アルミ材が多用されたサスペンションは、フロントがダブルウイッシュボーン式で、リアがマルチリンク式。アダプティブダンパーが備わり、「DNA」ドライブモードで硬軟を調整できる。

そのドライブモードは、シャーシ・ドメイン・コントロールシステムと連動。スロットルや変速タイミング、トラクションとスタビリティ・コントロールの制御も変化する。

軽量化のため、ドライブシャフトはカーボンファイバー製。ドアやボンネット、フェンダーにはアルミが用いられている。試乗車の重さを測ったところ、ガソリン満タンで1931kg。前後の重量割合は54:46だった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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