811psオーバーのNAマシン、アストン・マーティン・バルカン

公開 : 2015.03.03 22:53  更新 : 2017.06.01 02:10

アストン・マーティンは、バルカンでハイパーカー・マーケットへ参入する。£1,800,000(3億3000万円)というケタ違いのプライスが付けられたモデルで、24台が限定生産される。そのエンジンは、ノーマル・アスピレーションとしては最も強力な811psを発揮する7.0ℓのV12だ。バルカンというネーミングは、アストン・マーティンのヘッドクォーターが、RAF(英国王立空軍)のベースのあるゲイドンに位置するということで、1950年代から1970年代に活躍した英国製の有名な戦略爆撃機の名前からとったものだ。

タブはもちろんのこと、そのほとんどのマテリアルは軽量なカーボンファイバー製。また、2016年から続々とデビューする予定の新しいアストン・マーティンのスポーツカーおよびGTカーのデザイン・プレビューでもあると、チーフ・デザイナーのマレック・ライヒマンは語っている。

生産は今年の第4四半期からの予定で、その前に6月のル・マン24時間でデモンストレーションを行う計画だ。また、バルカン自体のワールド・プレミアはジュネーブ・モーターショーを予定している。

バルカンのために、デイビッド・キングをトップとするアストンのスペシャル・プロジェクト・ディビジョンが組まれた。エクステリア・デザイナーのチーフにはマイルス・ニューンベルガー、インテリア・デザイナーのチーフにはマット・ヒル、そして開発ドライバーにはアストン・マーティン・レーシング(AMR)のダレン・ターナーが招集された。

ちなみに、このバルカンのオーナーには、マクラーレンP1 GTR同様に、完全な技術的な支援と、専用のサーキット・プログラムが提供される予定だ。

バルカンのコアは、One-77に使われたカーボンファイバー製のタブだ。しかし、より剛性を上げられ、そして軽量化され、しかもFIAスペックのロール・ケージを備えるなど、50%は新設計のもの。そのシャシーとボディの開発は、One-77同様マルチマティックで行われた。

エンジンはフロント・ミドシップ・マウントで、その50%はコクピットに達しているという。そのパワーは811psを発揮する7.0ℓプラスのV12で、駆動方式はRWD。トランスミッションはヴァンテージGTEレーサーと同じ6速のXトラック・シーケンシャルが採用される。

2本のチタン製のエグゾーストを備え、ライヒマンによれば “シフト・ダウンの度に炎とサウンドがそこから奏でられる” という。

最高速度は322km/h以上であると予測される。

このバルカンには、敢えてノーマル・アスピレーションのV12が搭載されることになった。このことからも次世代のアストン・マーティンのプロダクション・モデルにはV12がラインナップに残ることは確実だが、バルカンのようにノーマル・アスピレーションではなくターボ・ユニットになる可能性は高い。

サスペンションはプッシュロッド・タイプ。ダンパーは当然アジャスタブルで、アンチロールバーを備える。

ブレーキはブレンボ製のカーボン・セラミックで、フロントがφ380、リアがφ360。ポッシュ製のアジャスタブル・アンチロック・ブレーキ・システムを装備する。

この他、バリアブル・トラクション・コントロール、リミテッド・スリップ・デフ、カーボンファイバー製のプロペラ・シャフトとマグネシウム製のトルク・チューブ、軽量なマグネシウム製の19インチのアロイ・ホイール、そして345/30サイズの専用のミシュラン・タイヤなどが装備される。

ライヒマンはバルカンについて “感動的なドライビング・エクスペリエスを与えてくれる” としている。非常に一体感のあるクルマであり、常にコントールしていることが感じられるクルマでもあるという。

バルカンのホイールベースはOne-77と同じ2800mm。全幅はOne-77よりも200mm広い2200mmというサイズだ。高さは100mmほど低い1200mmで、ボディ重量は150kgほど軽い1350kgという数値だ。

ライヒマンが語ったところによれば、このバルカンはアストン・マーティンの “力、美しさ、そして魂” の最終的な具現化であるという。また、そのフロント・エンド・デザインについては、アストン・マーティンの将来的なモデルのデザインを示唆しているという。”これは、われわれの来るべきスポーツカーに大きな影響を持つモデルである” とライヒマンはコメントしている。

インテリアは、アルカンタラ、本革、カーボンファイバー、アルミニウム、チタンなどすべての素材が使われ、一部はあえてカーボンファイバーをむき出しにしているという。また、ドライビング・ポジションはダレン・ターナーとの共同で開発され、ロールケージは視界を良くするためにAピラーによって隠されるデザインとしている。また、彼はポリカーボネート・ウインドーとスクリーンを通して見える視界確保のためにミラーの位置の微調整も行っている。ステアリング・ホイールは、ディスプレイの情報を遮らないようにトップ・セクションを欠いたデザインだ。

アストン・マーティンは、このバルカンをレースに使用する人のために、あえてペイントしていないカーボンファイバーのままのボディでもデリバリーをする予定だという。

バルカンには、ワイパーやハンドブレーキなども取り付けられているが、サーキット専用モデルであり、FIAの安全基準を満たすクルマの作りがされている。アストン・マーティン自身は、ロード・モデルとしてデビューさせる計画はないという。

また、このバルカンを24台の限定とした理由は、ひとつはル・マン24時間レースを捩ったもので、もうひとつはジェームズ・ボンドの映画が今回封切りされるスペクトラで24作目となることだという。まだ、その販売を発表したわけではないが、すでに数人顧客からオーダーが入っているとも言う。

このバルカンのライバルは、マクラーレンP1 GTR、そしてラ フェラーリFXX Kだ。

▶ 2015 ジュネーブ・モーターショー

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