1930年代のスーパーカーを今も作り続ける英国工場 歴史が詰まった『アルヴィス』のワークショップへ潜入
公開 : 2026.02.16 17:05
自分だけの1台を作ることも
32万5000ポンド(約6780万円)ほど用意すれば、新車を注文できる。6種類のボディスタイルから選択可能で、3.0Lまたは4.3Lの直列6気筒エンジンを搭載。オリジナル仕様に準拠しつつ、現代技術(スムーズなトレメック製トランスミッションなど)を適度に採用しているため、排出ガス試験も難なくクリアする。
あるいは、ナルニア国のようなアルヴィスの部品倉庫を探索していくと、別の施設にたどり着く。そこには中古シャシーが所狭しと並び、次のオーナーを待っている。オリジナルのナンバープレートを付けた、新しいアルヴィスを手に入れるチャンスだ。

「購入者にとっての楽しみの1つは、製作過程そのものにあります」とストート氏は語る。「自ら足を運び、車内に座り、製作に参加できます。そして完成車が自分だけの唯一無二のクルマだと実感していただけます」
古いアルヴィス車を再生するには最大5000時間を要し、ほぼすべての部品が現地で製作または調達される。「何しろ、ここは英国自動車産業の中心地ですから」と彼は明るく言い添えた。
ケニルワースは単なるノスタルジーに浸る場所でも、都合良くバーンファインドできる場所でもない。激動の時代における英国自動車製造のサクセスストーリーなのだ。
実際に運転してみた
「試乗してみませんか?」とアラン・ストート氏が提案してくれた。気温は摂氏0度を下回っており、4.3Lのバンデン・プラのコンティニュエーションモデルが履くブロックリータイヤにとっては厳しい環境だ。
筆者に手を貸してくれたのがカラム・ロバーツ氏だ。24歳の陽気な彼は、ワークショップを一休みして、このモデルの操作方法と、いかに思い通りに動せるかを教えてくれた。

最新の6速MTは軽々とシフトチェンジができ、朝の渋滞も楽々だ。手や足を動かすたびに、クルマは敏感に反応する。全盛期に、このようなクルマを運転するのに高い技術が求められていた理由もよく分かる。しかし、部品には現代的な要素が巧みに取り入れられているため、単にクルマを走らせ続けるだけでなく、クルマのコントロールに集中することができる。
巨大な直列6気筒エンジンは、25.4kg-mという太いトルクバンドを誇っている。この巨大な車体では控えめな数字に聞こえるかもしれないが、1000~4000rpmと幅広い回転域で発揮される。
クルマも筆者も、一度もミスをすることなく走り続けた。ふぅ。このオリジナルの設計図そのままのアルヴィス車が、現代に求められる基準を満たしている証拠があるとすれば、まさにこれだろう。
英AUTOCAR誌は1938年に、アルヴィス・スーパーツアラーの0-97km/h加速を11.3秒と計測し、「スーパーカー」と評した。ロバーツ氏によれば、今ではさらに速くなっているという。そろそろ試乗用の機材を引っ張り出すべきかもしれない……。






























