機能を理解してから好きになったスタイリング ホンダ・プレリュードと過ごした夏(4) 白眉はS+シフトの制御【日本版編集長コラム #102】

公開 : 2026.10.04 12:05

AUTOCAR JAPAN編集長ヒライによる、『日本版編集長コラム』です。最近乗ったクルマの話、取材を通じて思ったことなどを、わりとストレートに語ります。第102回は『ホンダ・プレリュードと過ごした夏(4)』です。

6代目プレリュードはカッコいい?

この夏、昨年9月4日に発売されたスペシャリティスポーツカー、『ホンダ・プレリュード』と約1ヵ月を共に過ごすことになった。そして毎日、見ていて考えたのは、6代目となる新型プレリュードがカッコいいかどうかだ。

正直に書けば、ジャパンモビリティショー2023で初めてプロトタイプを見た時の印象はよくなかった。「2ドアクーペ? いや3ドアか。でもこの形だとプレリュードの車名が似合わないのでは? もしかしてアメリカ向け?」という感じだ。

1ヵ月を共に過ごすことになった、フレームレッドのホンダ・プレリュード。
1ヵ月を共に過ごすことになった、フレームレッドのホンダ・プレリュード。    平井大介

しかし取材を重ねて、その形が機能に由来することを理解してからは、すっかり好きになった。実際に乗る前と乗った後では、ガラリと印象が変わったのである。

まず、前回記したとおり、旋回性能を高めるためのディメンションを実現したスタイルとなっていること。例えば、大型のフロントアンダースポイラーはフロントリフトを、テールゲートの平坦さはリアリフトをそれぞれ低減させるなど、それぞれの形にはちゃんと理由があった。

単純にスタイリッシュさ、あるいはハイスペックなスポーツカーらしさを求めるならば、違うアプローチもあっただろう。しかしシビック・タイプRベースのFFであることを前提に、リアに2名の乗車が必要なこと、ハッチゲートの下には2名分の荷物を載せることなどが要件としてあった。

つまり、ハイブリッドスポーツカーとGTカーを両立させようとしたのだ。ロール剛性をシビック・タイプRよりも敢えて下げ、日常使いに配慮した専用セッティングになっているあたりがその証拠と言えるだろう。

スポーツドライブと快適性を両立

少しボディの話もしたい。ハンドリングに結び付く高剛性な側面と、乗り心地を向上させるしなやかなルーフ、すなわち剛と柔を併せ持つとホンダは説明している。これもロール剛性の話と一緒で、スポーツドライブと街中や高速道路での快適性を両立していることは、今回も実感することができた。

長年取材してきた肌感覚として、スポーツカーに限らず、ボディおよびシャシー剛性は高すぎてもダメだと思っている。路面からの入力をちゃんと逃がすことが肝要で、少し話が逸れるが、多くのスポーツカーが採用するアルミフレームのシャシーはその点が特に優れている。その頂点はフェラーリで、例えば812スーパーファストで走っていてシャシーがしなる感触は、快感ですらあった。

ボディは剛と柔を併せ持つとホンダは説明する。
ボディは剛と柔を併せ持つとホンダは説明する。    平井大介

ドライブモードはコンフォート、GT、スポーツの3つが用意される。個人的にはコンフォートだと足まわりが動きすぎて落ち着かず、ほぼGTで走行した。ワインディングなどテンポよく走りたい時には、スポーツを使用した。

スポーツは、レスポンス、ハンドリング、サウンドが高まるとされ、確かに吹け上がりの気持ちよさはなかなかのものだった。ここで毎回迷うのは、S+シフトを使用するかどうかだ。もちろん疑似とはいえ8速を駆使して走るのは楽しいし、エンジン回転とサウンドの絶妙な制御は、まさにプレリュードの白眉である。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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