ホンダが新型プレリュードで描く未来予想図【日本版編集長コラム#53】
公開 : 2025.10.26 12:05
AUTOCAR JAPAN編集長ヒライによる、『日本版編集長コラム』です。最近乗ったクルマの話、取材を通じて思ったことなどを、わりとストレートに語ります。第53回は新型ホンダ・プレリュードに、すっかり参ってしまった話です。
計画の約8倍となる順調な滑り出し
『ホンダ・プレリュード』の販売が好調だ。10月7日にホンダが発表したプレスリリースによれば、販売計画の月300台に対して発売から約1ヵ月で約2400台を受注と、約8倍となる順調な滑り出しとなった。
先日参加した試乗会で月300台と聞いた時に、随分と控えめな台数だと思った。試乗を通じて、もっとポテンシャルがあると感じたからだ。しかし、約四半世紀ぶりに復活した『プレリュード』の車名だが、そのスタイリングの第一印象はあまり芳しくないものであった。

あくまで個人的見解と前提したうえで、最近は歩行者保護のためボンネットの高さを……といった、絶対に必要ではあるもののスポーツカーにとってはカッコよさと相反する要素が多く、プレリュードもその壁に阻まれたように思えたからだ。
また、これだけSUV全盛の中で、絶滅危惧種とさえ言える2ドアクーペ(プレリュードはリアゲートが開く3ドアだが)を新たに作る意味も、その時は見い出せなかった。
これは以前の取材で関係者が語っていたことだが、開発スタート時はプレリュードの車名ではなかったそう。電動化の流れの中でハイブリッドの楽しいスポーツカーを作るというのが出発点で、途中でプレリュードの車名を使うことにしたそうである。
だからなのか、デートカーという言葉が似合う歴代プレリュードと6代目となる新型の間には、大きなイメージギャップが生まれたように思う。そう、強調しておきたいのは、新型プレリュードが飛び切りのスポーツカーであるということだ。
ここ1年で駆け上がった中で一番愉しい
今回の試乗コースは、静岡県御殿場市の試乗会場から高速道路に乗り、途中から一般道の国道1号線を箱根方面に登り、撮影許可が出ている芦ノ湖スカイラインなどを駆け抜け、会場へ戻るというもの。
筆者は静岡県東部に昨夏移住し、それ以来、国道1号線から箱根に向かうことも多い。そのため今回のコースは様々な車種で走ってきたが、結論から書けば、ここ1年で駆け上がった中で新型プレリュードは一番愉しいクルマだった!

シビック・タイプRのシャシーをベースとしているが、まず、ディメンジョンをプレリュードのためにイチから見直したのが効いているのだろう。プレリュードはとにかくよく曲がり、そのハンドリングは感動的ですらある。
また、室内の快適性やフラット感も高レベルで、スポーツカーでありがちな街中での我慢も強いられない。街中ではロードノイズの大きさが若干気になったが、その話は後述する。
そういった印象を持ったうえで資料に目を落とすと、なるほど思うことが多い。
・しなやかなボディは路面入力をいなし、荒れた路面も収まりよくフラットに
・逆にボディ剛性を強化した部分は、操作へダイレクトに反応
・アダプティブダンパーシステムは、シビックよりも減衰力を下げることでしっとりとした動きに
・サスペンションは、ロール剛性最適化と摺動抵抗低減でしなやかな動きに
・支持剛性の高いシャシーは、無駄のない力の受け渡しを実現
これで全てではないが、いずれにしても新型プレリュードは、『しなやかに路面に追従する乗り心地性能』と『リニアで一体感の高いハンドリング性能』を両立したという。


























































