お手頃な2択で悩める喜び ホンダ・スーパーワン vs ルノー・トゥインゴ(2) 魅力的で楽しいが、航続距離は物足りず

公開 : 2026.10.19 18:10

初代のイメージをまとい復活したルノー・トゥインゴと、軽自動車から派生したホンダ・スーパーワン。近年稀に見るほど可愛い2台はベクトルが異なり、個性や特長が明らかに違っていました。UK編集部が試乗します。

1980年代のホンダ車とイメージが重なる前席側

ホンダ・スーパーN(日本名スーパーワン)の前席側は、1980年代のホンダ車とイメージが重なる。開放感があり、ルノー・トゥインゴ E-テック・エレクトリックほどではなくても、遊び心も感じられる。硬いプラスチックは目立つものの、質感はより高い。

ダッシュボード周りのインターフェイスは、従来的。タッチモニターは備わるが、基本的な機能へ対応したベーシックなもの。デザイン的な統一感では、トゥインゴ E-テックの方が上だろう。どこかクラシカルな雰囲気でもあるが、個性とも受け取れる。

ホンダ・スーパーN(スーパーワン)/ルノー・トゥインゴ E-テック
ホンダ・スーパーN(スーパーワン)/ルノー・トゥインゴ E-テック    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

前方視界は非常に広く、フロントシートはマイクロスウェード張りのスポーティな形状。体格によっては、小さく感じるかもしれない。2台とも調整範囲は限られ、1時間以上座っていると、腰や太もも辺りのサポート性を高めたくなる。

アクセルペダルを思い切り蹴飛ばせる醍醐味

シティカーの軽自動車がベースと聞くと、運転の楽しさへ疑問を抱く読者はいらっしゃるだろう。だが、高回転型エンジンを積んだスポーティな軽自動車は、古くから存在してきた。バッテリーEVのスーパーワンも、滅法面白い。

最高出力は控えめながら、アクセルペダルを思い切り蹴飛ばして走り回るという、醍醐味がある。トレッドは広げられ、シートは充分に上半身を支えてくれる。

ホンダ・スーパーN(スーパーワン) アドバンス(英国仕様)
ホンダ・スーパーN(スーパーワン) アドバンス(英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

スーパーワンの楽しさを最大限に開放するなら、やはりブースト・モード。通常は64psに制限される駆動用モーターは、95psを発揮するようになる。擬似的なエンジン音や変速で、体験を盛り上げてもくれる。人工音は、オフにできても良かったと思うが。

出色なのが、軽快な操縦性。背の高い見た目から想像できないほど、すばしっこい。フロントノーズの反応は鋭く、ステアリングホイールを握る手のひらには、路面の状態がつぶさに伝わる。小柄なボディで、狭い道でラインを選べる喜びもある。

高速での快適性で勝るが楽しさで届かない

スーパーワンは、サスペンションの洗練度も高い。スプリングは硬めでストロークは短めで、路面の凹凸は拾いがちだが、強い衝撃は抑えられている。鋭い入力で、落ち着きを失うこともない。車重は1097kgと軽く、安心して目前の道へ集中できる。

トゥインゴ E-テックも、1200kgとEVとしては軽量。タイヤは良くグリップし、カーブでアクセルペダルを戻せば、フロントを軸に回頭する挙動が気持ちいい。しかし、ひと回り大きいボディと柔らかめのサスペンションで、身のこなしはさほど機敏ではない。

ルノー・トゥインゴ E-テック・エレクトリック・テクノ(欧州仕様)
ルノー・トゥインゴ E-テック・エレクトリック・テクノ(欧州仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

反応が素直なステアリングは少し軽すぎ、切り始めはルノーらしくやや過敏。滑らかなライン取りを、難しくしている。最高出力は81psで、100kg以上重い車重と相まって、パワーの余裕も限られる。高速道路での快適性では勝るが、楽しさで届かない。

乗り心地は落ち着きがあり概ね好印象だが、ホイールはコンセプトカー風の18インチではなく、16インチの方が良さそうだ。荒れた路面で、バタつく場面があった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ホンダ・スーパーワン vs ルノー・トゥインゴの前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

Google検索で『AUTOCAR JAPAN』の記事を見つけやすくする方法