運転の楽しさは本物 ホンダ・スーパーワン(2) 英国仕様はもっと高馬力で良かった 価格競争力は低くない

公開 : 2026.06.29 18:10

軽のN-ONE e:がベースの、ホンダ・スーパーワンが英国上陸。愛嬌漂わせる個性的な姿に、驚きある実用的な車内。体験を高める疑似変速に加え、最大の強みは極小サイズ。UK編集部が試乗です。

英国仕様はもっとパワーを高めて良かった

ブリスターフェンダーやスポーツシートで「スーパー」化された、ホンダN-ONE e:。相当にスポーティな走りを期待するかもしれないが、ノーマル・モード時の最高出力は64ps。ブースト・モードでも95psで、0-100km/h加速は10.0秒と驚きは小さい。

これは、軽自動車がベースだから。そもそも日本の都市部において、これ以上の動力性能はさほど意味を持たないといえる。しかし英国導入に向けて、もう少しパワーを高めても良かっただろう。駆動系サプライヤーの都合で、難しいのかもしれないが。

ホンダ・スーパーワン(スーパーN/英国仕様)
ホンダ・スーパーワン(スーパーN/英国仕様)

ドライブモードは他に2種類あり、エコ・モードはエアコンの効きが弱くなる電費重視。スポーツ・モードはアクセルレスポンスがシャープになるものの、馬力は64psのままで、やや物足りない。インディビジュアル・モードが欲しい。

とはいえ、ノーマル・モードでも市街地なら充分活発。シティ・モードならワンペダルドライブにも対応する。自然なフィーリングのブレーキペダルと相まって、運転しやすい。高速道路への合流時には、少しヤキモキしそうだけれど。

運転体験を高める疑似変速と小さなサイズ

ステアリングホイール上のボタンを押すと、ブースト・モードが発動。加速力が1段高まり、擬似的な4気筒ターボエンジン風サウンドと、7速ATを模した変速が有効になる。変速をサボり、回転数が落ちると吹けが悪くなり、回しすぎるとリミッターに当たる。

本物のATより、変速は迅速。回転上昇が重く、ヒョンデアイオニック5 Nには届かないものの、運転体験を効果的に高めている。他方、ブースト・モードで疑似エンジン音を切ることはできない。純粋なEVの体験を求める人の共感は、得にくいように思う。

ホンダ・スーパーワン(スーパーN/英国仕様)
ホンダ・スーパーワン(スーパーN/英国仕様)

スーパーワン最大の強みといえるのが、ルノー5 E-テックより小さいそのサイズ。カーブが連続する丘陵地帯も、生け垣に囲われた裏道も、クルマとの遊び場に変えられる。舗装の剥がれた穴をすばしっこく避けつつ、気持ちよくラインを辿れる。

サスペンションは、後ろが簡素なトーションビームで、荒れた路面で多少跳ねる。しかし、車重は1097kgと軽く不安感は皆無。むしろ、積極的にカーブへ飛び込める。

ゴーカートのように思い切り振り回せる

ステアリングのレシオはクイックすぎず、切り始めから好感触。路面のフィードバックは薄めながら、手応えでグリップ状態は感じ取れる。フロントノーズは意欲的に反応し、ヨコハマ・アドバン・タイヤは頼もしく路面を掴む。

カーブ途中でアクセルペダルを緩めれば、シャシーの旋回を僅かに誘える。スタビリティ・コントロールが、テールスライドを抑え込むが。やや制限のある動的能力を踏まえると、フォルクスワーゲンUp! GTIへ印象は重なる。

ホンダ・スーパーワン(スーパーN/英国仕様)
ホンダ・スーパーワン(スーパーN/英国仕様)

乗り心地は、前述の通り良くはなくても、軽量で身軽。安定性は非常に高く、ゴーカートのように思い切り振り回せる。とにかく、普段の道で運転が楽しい。

アダプティブ・クルーズコントロールは、114km/h以下に対応。高速道路ではロードノイズが大きめだが、これはシティ・コンパクトとして珍しいことではないだろう。車線維持支援システムは、不要ならオフにできる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ホンダ・スーパーワンの前後関係

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