今どき敢えてのブリスターフェンダー ホンダ・スーパーワンのデザイナーが語るシティターボIIを思わせる理由 インテリアも1990年代の香り

公開 : 2026.10.03 11:45

ホンダ・スーパーワンのデザインは、シティターボII(通称ブルドッグ)をイメージさせるものです。また、インテリアも同時代の香りがします。そこで、デザイナーにその理由やこだわりポイントについて話を内田俊一が聞きました。

より大きく、スタンス良く見せるために

ホンダ・スーパーワンのデザインを見ていると、シティターボII(通称ブルドッグ)をイメージしてしまう。またインテリアも同時代の香りがする。そこでデザイナーにその理由やこだわりポイントについて話を聞いた。

エクステリアデザインを担当した本田技研工業の中島英一さんが最もこだわったポイントは、「張り出したスタンス」だという。

軽乗用車EVであるN-ONE e:をベースに作られた、スーパーワンのデザインスケッチ。
軽乗用車EVであるN-ONE e:をベースに作られた、スーパーワンのデザインスケッチ。    本田技研工業

それを実現するため、「敢えて今の時代でもブリスターフェンダーを採用し、クルマを目一杯大きく見せようとしています」と話す。ブリスターフェンダーは四角い形状であることから、決められた寸法で一番容積を出せるからだ。

そこで、「片側およそ50mmずつ出すことで、寸法以上の迫力を見せられたらと考えました。骨格が軽ベースですから、より大きく見せたいんです」。そのフェンダーのショルダー部分を若干落とし気味にしている点もこだわりだ。

最初から一体感を意識

「ブリスターフェンダーをそのまま箱のようにポッと付けると後付け感が出てしまいますので、最初からこのクルマのフェンダーだという一体感を意識して作りました。同時にサイドから見ると上部の斜めにした面がしっかり見えるんです。

これは何回もクレーモデルを作って、光が当たる角度と面積が目立つようにバランス取りをしてベストを探りました。結果としてすごく出て見えますし、ブリスターフェンダーという存在感を含めてバランスが取れました」

スーパーワンのデザインを担当した本田技研工業の森下さん(左)と中島さん(右)。
スーパーワンのデザインを担当した本田技研工業の森下さん(左)と中島さん(右)。    内田俊一

また、タイヤを含めてスタンスを良く見せたいことから、リアフェンダーの左右後端を少しだけ内側に入れていて、実はフロントも同様となる。

「そうすると、タイヤでクルマが踏ん張ってるように見えるんです。シティターボIIは屋根が高いのに踏ん張り感があって格好良いのは、こういう工夫があるからです」

1990年代のホンダの室内をオマージュ

インテリアはシティターボIIだけでなく、1990年代のホンダを意識した。インテリアデザインを担当した森下秀一さんがこう説明する。

「当時は黒いインテリアが当たり前すぎたことや、デニムが流行ってきた時期でもあったので、ドアライニングやインストルメントパネルの樹脂色にネイビーをあしらい、シートはあまり見たことないような色合わせをしていました。

スーパーワンのインテリアデザインスケッチ。
スーパーワンのインテリアデザインスケッチ。    本田技研工業

また、そのシートの骨格はヘッドレストとシートバックが一体型になっていましたので、そういったことを踏まえ、細かい形よりも上位にある当時の世界観や立体の構成をオマージュしています」

森下さんが続ける。

「例えば、エアコンの吹き出し口のついたパネルが上にあり、下にトレイを感じさせる二段構成の骨格を採用し、線の質もシャキッとさせています。ただ、色味を全部ネイビーにすると、いまの若者からするとダサいとリジェクトされてしまうので、センスよくモダンにアクセント的に取り入れることを考えながらオマージュしました」

メーターも、ブーストモード時には紫の画面に切り替わり2種類の表示が現れる。3連メーターについて、中島さんがこう説明する。

「ターゲットとなる50歳代男性が昔、峠道などを楽しむ際に自分で後付けのブースト計などを装着していたことを思い出すとともに、サブターゲットとなるその息子さん世代には、新しい、すごく楽しいと思ってもらえるような価値観に繋げています。

また、もうひとつは(若者が)もっととっつきやすくゲーム感覚で、まるでワープしているようなスーパーワンのリアビューを見せるという2タイプのモードを用意して、世代問わず楽しめるようにしています」

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    Shunichi Uchida

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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