2025年のマイベスト(2) スーパースポーツ:伝統美を再解釈 5 E-テック:時代の流れを掴む

公開 : 2025.12.29 18:10

UK編集部5名が選ぶ、2025年のベストな1台 トヨタ・プリウス フォード・マスタング ポルシェ・パナメーラ ルノー5 E-テック モーガン・スーパースポーツ ベスト・オブ・ベストは?

後輪駆動で適度にパワフル 軽くダイレクト

今回の5台でとりわけ個性が強いのは、モーガン・スーパースポーツ。実は筆者、ヴィッキー・パロットも、今年のハイライトを飾る1台として候補に挙げていた。伝統的な美しさを現代的に再解釈したスタイリングが、体験の魅力を増大させている。

後輪駆動で、適度にパワフル。軽量でダイレクト。まさに2025年に生まれた宝石と呼んで良い。マット・プライヤーが選んだ理由も、そこにある。

オレンジのモーガン・スーパースポーツと、ブロンズのポルシェ・パナメーラ・ターボS E-ハイブリッド
オレンジのモーガン・スーパースポーツと、ブロンズのポルシェパナメーラ・ターボS E-ハイブリッド    マックス・エドレストン(Max Edleston)/ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

「とても気に入っています。見た目も、パッケージングも。運転が楽しくて、笑顔にしてくれます。エンジンはカチカチとノイズが大きいですが、2025年に運転した中で、これ以上に面白いクルマは他にありませんよ」。強く同意する。

来れなかった同僚が選んだであろう1台は?

そして、本来ならクリスマスランチにいるべき同僚、マット・ソーンダースとリチャード・レーンは都合で来れなかった。そこで勝手に想像してみる。

レーンなら、ポルシェ911、恐らくカレラSを選んだだろう。集まった全員も、同じように考えていたらしい。クリスマスランチを開いたパブのオーナーも、そう予想していた。本来なら、含まれていて不思議ではない。それくらい素晴らしいクルマだと思う。

AUTOCAR英国編集部によるクリスマスランチの様子
AUTOCAR英国編集部によるクリスマスランチの様子    マックス・エドレストン(Max Edleston)/ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

ソーンダースは、きっとランドローバーディフェンダー・オクタで乗り付けたと予想する。これも満場一致だった。そもそも、635psのディフェンダーを年末に欲しがらないクルマ好きは限られるはず。

さて、この中でベスト・オブ・ベストはどれか。まとめてもらうのは、客観的に判断できそうなサム・フィリップスだ。

時代の流れを捉えたベスト・オブ・ベスト

さて、モーガン・スーパースポーツは素晴らしいが、セカンドカーに選んだとしても実用性が心もとない。トヨタプリウスは近未来的なボディに快適な走り、身近な価格で訴求力が高い。しかし、今ひとつ決定打に欠けるというのが、共通意見のようだ。

ポルシェ・パナメーラは、感服の乗り心地と驚くほどの燃費、圧倒的な動力性能でクラストップの完成度を誇る。それでも、車重と価格の数字は見逃せないほど大きい。

ルノー5 E-テック・コンフォートレンジ(英国仕様)
ルノー5 E-テック・コンフォートレンジ(英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)/ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

フィリップス個人的には、マスタング・ダークホースを推したい。2025年に、V8エンジンへ惹かれないクルマ好きはいないはず。だが、後ろめたさがあることは間違いない。というわけで総合的に判断し、ルノー5 E-テックがベスト・オブ・ベストだろう。

レトロフューチャーな見た目に、不満ない航続距離、現実的な価格など、説得力は高い。運転も楽しい。バッテリーEVに、新たな風を吹き込んだといえる。乗りやすく、安っぽくないのにお手頃。時代の流れを、見事に捉えていると思う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    2006年より自動車ジャーナリストとして活躍している。AUTOCARを含む複数の自動車専門誌で編集者を歴任した後、フリーランスとして活動を開始し、多くの媒体で執筆を続けている。得意分野はEV、ハイブリッド、お菓子。2020年からは欧州カー・オブ・ザ・イヤーの審査員も務める。1992年式のメルセデス・ベンツ300SL 24Vの誇り高きオーナーでもある。これまで運転した中で最高のクルマは、2008年のフォード・フィエスタSTとアルピーヌA110。どちらも別格だ。
  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    役職:常勤ライター
    AUTOCARに加わる以前は、クルマからボート、さらにはトラックまで、EVのあらゆる側面をカバーする姉妹誌で働いていた。現在はAUTOCARのライターとして、トップ10ランキングや定番コンテンツの更新、試乗記や中古車レビューの執筆を担当している。最新の電動モビリティ、クラシックカー、モータースポーツなど、守備範囲は広い。これまで運転した中で最高のクルマは、1990年式のローバー・ミニ・クーパーRSP。何よりも音が最高。
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

2025年のマイベストの前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事