モードによって、コントロールのしやすさが変わりすぎるのも残念。

標準であれば乗り心地はトロフィーよりもすこぶるいいもののコントロールはしづらい。+Rではコントロールしやすいのだが、トロフィーよりもはるかに硬いのだ。

トロフィーの£2,000(39万円)のオーリンズ製ダンパーはボタン操作による設定変更は不可。しかし機会任せでも、それぞれの路面にぴたりと合ったダンピングを行ってくれる。タイヤとの相性もとてもいい。同マーケットに属する前輪駆動のなかでもっともコントロールしやすく、もっとも楽しいといっていいだろう。

ならば4WDと比べてどうか?

ゴルフRのダンピング設定はスイッチによって切り替えられるものだが、どのモードでも他の2台のように落ち着きを失うことはまったくない。

ステアリングはもっともスローだし、エンジンももっとも静かではあるが、その洗練の度合いは大差をつけて高い。

ブレーキ・ペダルの踏みこみ量、フロント・ノーズの動き、ブレークから安定状態に戻るまでの時間など、すべてはゆったりとしている一方で、まったく嫌に思うことがないのだ。

トロフィーやタイプRに乗っていたときのように、シリアスにならずとも、同程度のスピードでかっ飛ばすことができる。楽しさも同等だ。もし、2000kmくらい走らせればゴルフRの快適性はさらに光り輝くことになるだろう。AUTOCAR所有のゴルフRが年に2.5万kmも走る理由もわかる。

ただし忘れてはならないのは、本項はホットハッチ同士のテストであるということ。もっともドライバーを楽しませてくれる能力があるクルマを選ばねばならない。

そうなれば勝者はメガーヌR.S. 275トロフィーだ。ゴルフの得意とするアジャスタビリティとエンターテインメント性をもちあわせているのに加えて、目的意識の明確さとアジリティの高さも勝因となっている。

ならばシビック・タイプRはどうか? 私は好きだ。楽しいし、粘り強いし、サーキット上の実力も極めて高い。他のハッチバックを買う以上のメリットもある。トロフィーやゴルフRにはできない部分を見事に補っている点も、シビック・タイプRを購入する確固たる根拠になるはずだ。

シビック・タイプRを単体で見れば、数値を相手にしたとしても、申し分なく優れたクルマであるということがわかった。

もし仮に数値を相手にせず、そしてライバルと同じ土俵で比べるとどうか? 他2台の方が、色彩あふれるキャラクターを有している。

(マット・プライヤー)

ホンダ・シビック・タイプR

価格	£29,995(571万円)
最高速度	269km/h
0-100km/h加速	5.7秒
燃費	13.7km/ℓ
CO2排出量	170g/km
乾燥重量	1382kg
エンジン	直列4気筒1996ccターボ
最高出力	310ps/6500rpm
最大トルク	40.8kg-m/2500rpm
ギアボックス	6速マニュアル

フォルクスワーゲン・ゴルフR 3ドア

価格	£30,829(587万円)
最高速度	249km/h
0-100km/h加速	5.3秒
燃費	14.1km/ℓ
CO2排出量	165g/km
乾燥重量	1476kg
エンジン	直列4気筒1984ccターボ
最高出力	300ps/5500rpm
最大トルク	38.7kg-m/1800rpm
ギアボックス	6速マニュアル

ルノー・メガーヌR.S. 275トロフィー

価格	£28,930(551万円)
最高速度	254km/h
0-100km/h加速	6.0秒
燃費	13.3km/ℓ
CO2排出量	174g/km
乾燥重量	1376kg
エンジン	直列4気筒1998ccターボ
最高出力	275ps/5500rpm
最大トルク	36.8kg-m/3000rpm
ギアボックス	6速マニュアル