マツダ・デミオXDツーリングLパッケージ

公開 : 2016.12.05 05:54  更新 : 2017.05.29 19:12

走行ハードのもうひとつの目玉改良点となるGVCは効果の分かりにくいシステムである。瞬間的なエンブレ、巡航時なら1気筒1回分の爆発を間引く程度のわずかな減速で、前輪荷重をにこれまた極小で増加させて操舵応答性を高める。当然、減速を残したままの転舵では無意味であり、巡航もしくは緩加速中の転舵で効果的。タイヤ踏面の歪みやブッシュ等の逃げを取るような感じで、転舵と同時に穏やかにフロントが回り込み始める。転舵速度が緩やかなほど効果が分かりやすい。ただし、切れ味強化ではなく、綺麗な応答性が狙い。ハンドリング面のスポーツ性を向上させるシステムでもない。

付け加えるならステアフィールも従来車よりも滑らかになっていた。中立からの転舵時に操舵力の立ち上がりを素早くかつ連続的にしているのだが、感覚的には操舵力が軽くなったように思える。滑らかな回頭感覚と似合いの操舵感覚であり、街中でも高速でも馴染みがいい。

もうひとつ、マツダの説明にもないGVCの意外な効果が直進時の据わり。以前にもリポートしたが、高速でのうねり路面や横風を受けた走行での直進性は向上している。多分、外乱による微妙なステアリングの揺れと無意識下の修正操舵を受けてGVCが介入した結果、補正操舵量と進路の乱れが減少しているのだろう。

謳い文句には出てこないが肌触りのいい乗り味の実現はマツダ車の裏テーマなのかもしれない。前述の改良点もそうだが、段差乗り越え時の当たり感の減少など乗り心地の改善も同様。絶対値の低下だけでなく、変化特性による快不快の磨き込みが印象的。「人馬一体」に擬えるなら鞍の仕立ての妙味とも言える。

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