第11回ストリートVWsジャンボリー 写真50枚でレポート

2017.11.12

10月のクラシシェスVWトレッフェン取材以来、空冷VWがマイブーム(?)のAUTOCAR記者が締切り前日に取材を強行! 不運続きでクルマ趣味をあきらめ気味の記者は、濃厚すぎる空冷VWワールドに刺激を受けたようです。

text & photo:Daisuke Ebisu (戎 大介)

締め切りとイベントと癒やし。

今回、筆者がお邪魔したのは11月12日にお台場で開催された第11回ストリートVWsジャンボリーというイベント。その名の通り、空冷フォルクスワーゲンの専門誌であるストリートVWs(内外出版社刊)主催のVW車のワンメイクにして11回目の開催になる歴史あるイベントである。ショップから個人まで、フォルクスワーゲンを愛するあらゆるスタイルの人々が自慢の愛車を飾り、同好の士と友好を深めるとともに、お宝を発掘する場でもある。

しかし舞台裏を明かすと筆者はこの時期、11月26日発売の『クラシック&スポーツカーVol.9』(ただ今全国の書店にて好評発売中!)の編集作業がクライマックス直前だった。普通なら、「締め切り前日に他誌のイベントで遊んでくるとかナニゴトだ!」と編集長のカミナリが落ちかねないところだが、我ながら優良な進行で筆者の担当ページは、あと1軒のクライアントからの返事待ちというところまで追い込んであったのだ(ネット時代のイマドキに校正紙とノートPCとカメラを手にショップに突撃、その場で撮影&文章・レイアウト修正という力業でなんとかしたのはヒミツ)。晴れて半日の自由時間を確保した筆者は、忙しさに荒んだ心を癒やすべく、意気揚々とお台場へと向かったのであった。

昨年末に東名で大型トラックに弾かれて失った愛車パンダの代わりに、なぜか今なお乗り続けている代車の軽ワゴンもすっかり馴染んできた。「クルマ、コレで充分だなぁ」なんてAUTOCAR記者にあるまじき想いでクルマを走らせていると、お台場に近づくほどに周りのクルマの様子が変わってきた。どうやら今日はVWsジャンボリーの他にアメリカン・トラッキン系のイベントもあるようで、隣の車線はシボレーのピックアップで、バックミラーに映るのは妙に低い車高以外はフルノーマルの初代マツダMPV、そして対向からはサファリ・ウィンドウを開け放ったVWバスがやってきた。う~ん、クルマ趣味を謳歌してますねぇ! ちょっと自分が気恥ずかしくなりササッと軽を地下駐車場に隠すように駐めると、会場へと歩いて行った。

ダイバーシティ東京の会場に着いての第一印象は「この前来たときとガンダム変わってる!」ではなく、目の前すべてが空冷フォルクスワーゲンという風景。10月にお邪魔したビンテージ空冷VWのイベント、5. Klassisches VW Treffen In Japanでも清らかなオリジナル・コンディションのビンテージVWが会場を埋める様子に驚いたのだが、それにも勝るとも劣らないほどのインパクトを受けたのだった。

空冷ワーゲンのワンメイク・イベントゆえの濃くも深すぎる世界

“空冷VW”というと、半世紀以上という歴史の長さとその味わい深くも愛嬌あるスタイリングから、単なるクルマ趣味という領域を越えて、カルチャーであり、ライフスタイルであり、一般的な概念ですらある存在。’50年代のスプリットやオーバル・ウィンドウであれ、後年式のメキシコ生産モデルであれ、清らかなオリジナル・コンディションであっても、カスタム&チューンドでも、それぞれのクルマとオーナーが積んできた業(カルマ)が色濃く表れたVWたちはいずれも非常に個性的だった。また、一般的なクルマ趣味でよく陥りがちな、過剰なまでの本国(VWの場合はドイツ)びいきに凝り固まらないユルさ(ただし拘るべきポイントに妥協はない)が心地よかった。そう、空冷VWは紛うことなきドイツ車だが、同時にアメ車でもあり、誤解を恐れずにいうと日本車であり、あまねく“ワーゲン”なのだ。

会場には先月のクラシシェスVWトレッフェン会場でも見かけたフルオリジナルのビンテージ・タイプ1がいれば、キャッチーなドレスアップ&ダウンが施されたカスタムカーも並ぶ。極太のドラッグ・スリックでリアフェンダーがパンパンのレーサーがいるかと思えば、日本製の超軽量ホイールにポテンザを履いた走り屋仕様もいる。キャンプサイトを思わせるタイプ2が並ぶ一角では、“個性的”なんて言葉では括れないほどのバラエティに富んだディスプレイが競われていた。レーシーだったり、ファンキーだったり、ガーリーだったり、痛かったりと「こんなにもクルマの愉しみ方の振り幅があるんだ!」とVWはまったくのビギナーな筆者ではあるが、目を見張るばかりの空間だった。


また、会場内にはフラット4やガレージビンテージ、ムーンアイズといったスペシャルショップのブースや個人によるスワップミートも多数出店。オタカラからガラクタまで様々なVWパーツやグッズなどが並べられ、VWオーナーならずとも財布の紐が緩んでしまうレア・アイテムは眼福である一方、目の毒でもあった。いつものクルマ・イベントと比べると、女性オーナーやファミリーでのエントリーが非常に多いことも印象に残った。そして、旧車メインのイベントながらメーカーサイドであるフォルクスワーゲン グループ ジャパンも社内でレストアしたビンテージモデルを会場に持ち込むなど、クルマ好きとしては思わずほっこりとしてしまう場面も見られるなど、いかにこの旧い空冷ワーゲンたちが愛されているかをより強く感じたイベントだった。

結局、会場をグルグルと廻っていると昼過ぎになっていたことに気付いた筆者。後ろ髪を引かれつつも会場を後にし、締め切りのラストスパートへと向かっていったのであった。
 
■ストリートVWs公式ウェブサイト
http://www.streetvws.com/

 

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