67歳、レーサーから画家へ 著名人もオーダー 自宅探訪

公開 : 2018.02.03 19:10

マーティン・トムリンソンはクルマを絵画で表現することのできる稀有な才能の持ち主です。その腕に芸術を宿した男を訪ねてみることにします。

もくじ

いま筆を持つということ
才能が開花したとき
トムリンソンの哲学
番外編 3名の画家たち

いま筆を持つということ

デジタルカメラやスマートフォンでの写真撮影、そして「インスタ」の時代に筆で絵を描くことにはどんな意味があるのだろう?

マーティン・トムリンソンのモータースポーツに関する絵画と、その作品が訴え掛けてくる答えを見てみると、フォトショップによる加工など存在せず、ただ技術と才能だけが埋め込まれていることがわかる。

まずはマイク・ホーソーンが彼のフェラーリ・スクアーロ555でピット・インしている作品を見てみよう。視線は絵の右上からのものだ。エンジンの熱まで感じることができるんじゃないだろうか?

「もし家が火事になっても、この1枚は助け出します」とトムリンソンは言う。「でも、実際には全部燃やしてしまって、保険を請求するかも知れませんけどね(笑)」

ときおり垣間見せる自尊心も、ふわりとユーモアで包み込む。恐らく彼のプライドはレースに参戦していた1970年代初頭に培われたものだろう。

そう、彼はもともと、レースをしていた。

シングルシーターのフォーミュラ・フォードをフォード・ゼファーで牽引し、そして再び家に帰ってくるまでの間に自信の程が試されたのだ。(「ワークスのクルマを手に入れたんですが、そこでお金もつきてしまいました」)

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