七面鳥を荷室へ載せて BMW M3 ツーリングでスコットランドへ(2) 指数関数的パワー上昇

公開 : 2025.12.24 18:10

荒天の冬旅にベストなM3 ツーリング 指数関数的にパワー上昇の直6ツインターボ 高速道で剛腕さに唸る スポーツで直感性が増すステアリング UK編集部がスコットランドを巡った2日間

指数関数的にパワー上昇の直6ツインターボ

夜が明けると、天気は回復。好奇心旺盛な七面鳥が、広大な放牧地を自由に歩き回っている。筆者が近寄ると、「キュルキュル」と鳴きながら歩み寄ってくる。ブロンズ色の羽が美しい。くちばしを隠す、皮膚の膨らみを揺らしながら羽を広げる。

積極的な1羽が、筆者の履く長靴を突く。冷凍された七面鳥を、1羽購入。クリスマス直前には、直売所で売るという。

BMW M3 CS ツーリングと筆者、リチャード・ウェバー 手にはサウスパウリー・ファームの七面鳥が
BMW M3 CS ツーリングと筆者、リチャード・ウェバー 手にはサウスパウリー・ファームの七面鳥が    マックス・エドレストン(Max Edleston)

そこには、新鮮な野菜も売られているとか。テイ川を横断する橋を南へ下り、目指すことにした。道は開けBMW M3 CS ツーリングの本領を解き放つ。3000rpm以上になると、3.0L直6ツインターボエンジンは指数関数的にパワーを上昇させる。

マフラーのフラップが開き、排気音は勇ましさを高める。カーブへ飛び込むと、小さくない慣性と硬めのサスペンションで、僅かに落ち着きが弱まる。それでも、バケットシートは身体をピタッと支えてくれる。思い切り、荒ぶれた走りを堪能する。

スーパーマーケットに並ぶ野菜は画一的

M3と筆者の心が程よく温まったところで、ピトーミー・フルーツ・ファームに到着。キャメロン家が営む農場で、今は果物が終わった閑散期。それでも直売所には、冬野菜が並んでいた。人工的な肥料を極力抑え、農薬を用いない農法が特長だ。

スーパーマーケットに並ぶ野菜は、画一的で季節感を欠くと、ユーアン・キャメロン氏が話す。「自然に育つのが好きなんです。見た目が悪くても、自分は気にしませんよ」

サウスパウリー・ファームのトーマス・ペイト氏(左)
サウスパウリー・ファームのトーマス・ペイト氏(左)
    マックス・エドレストン(Max Edleston)

広い畑を移動し、じゃがいもが植わった区画へ。2エーカー(約2400坪)の農地で、22品種を栽培しているという。カーズ・ピンクやゴールデン・ワンダーも悪くないが、自分はヴィリヤを選んだ。茹でてから、油で軽く上げるのが好きだ。

大きな袋に、人参も詰める。テールゲートのガラス部分を開いて、荷室へ載せた。

スポーツ・モードで直感性が増すステアリング

ステアリングは、スポーツ・モードで直感性が増す。コンフォート時の軽さは、ボディサイズや車重と一致しないように思う。

3段階に調整できる8速ATは、中間がピッタリ。マニュアル・モード時の変速ショックが薄められつつ、反応は鋭い。オプションのカーボンセラミック・ブレーキは、効きを調整しやすいだけでなく、必要なら容赦なく減速してくれる。

フットル醸造所
フットル醸造所    マックス・エドレストン(Max Edleston)

やって来たのは、フットル醸造所。広大な工場内は、無濾過のオーガニック・ラガーやペール・エールなどを醸造する、ステンレス製タンクで占められている。一角にあるバーカウンターから、イーサン・ホッグ氏が歩いてくる。

「弊社は、醸造に6週間以上かけています。高品質なビールのために」。生のホールリーフ・ホップを用いるのが特長で、地元産の植物や海藻をブレンドし、風味を付けているそうだ。試飲したい気持ちを抑えつつ、オリジナル・エールビールを購入した。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・ウェバー

    Richard Webber

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

BMW M3 ツーリングでスコットランドへの前後関係

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