人間のように考え行動する自動運転車 AIで実現へ VWとボッシュ、「認知」能力を備えたシステム開発中
公開 : 2025.12.25 07:05
フォルクスワーゲン・グループのソフトウェア部門カリアドとボッシュが提携し、「認知」能力を備えた自動運転技術を開発しています。AIを活用し、人間と同じように考え行動するシステムの実現を目指しています。
自動運転開発にAI活用
近頃、「人工知能」や「AI」という言葉を聞かない日はない。自動車業界でも大きなテーマの1つとなっている。
AI分野で巨額の投資を行っている企業として、サプライヤーのボッシュとフォルクスワーゲン・グループのソフトウェア部門カリアドが挙げられる。両社は2022年に「自動運転アライアンス」を結成し、レベル2(市街地・高速道路・一般道でのハンズフリー運転)とレベル3(高速道路での完全制御)の自動運転システム開発を進めている。

AIがテキストや画像、動画などのコンテンツ生成に活用できることは広く知られているが、より深いレベルでは、従来よりも正確かつ効率的に膨大な技術データを分析する手段となり得る。例えば、新型車の開発にAIを活用し、試験施設で収集したテストデータの分析を大幅に高速化することができる。
ボッシュとカリアドは、最終的に「人間のドライバーと同じくらい自然に」行動できる自動運転システムの開発に取り組んでいる。
「AIベースのソフトウェアスタック」を採用し、現在は複数の車両を用いてテストを行っている。2026年半ばまでに量産化の準備が整う見込みだ。
自ら考え行動できるクルマへ
あらゆる状況で人間のドライバーの代わりを務めるためには、状況分析、推論、重大な意思決定に加え、正確な位置認識や走行車線の判断といった基本タスクも遂行せねばならない。ボッシュは自社のソフトウェアスタックが「知覚、解釈、意思決定、行動というすべての重要認知タスク」を処理すると述べている。
ここでキーワードとなるのは「認知(cognitive)」だ。経験と感覚を通じて学習し、理解することを意味する。つまり、自ら考え判断できるクルマである。クルマを操縦するためには、この認知が不可欠だ。

現在のソフトウェアレベルは、人間の論理的思考と行動を模倣できる「視覚・言語・行動」アプローチを統合するための基盤を築いているところだ。これにより、機械が人間のドライバーと同様に隠れたリスクを評価するなど、より複雑な交通状況を理解できるようになる。
それ以前の近い将来において、ボッシュは自社のAIソフトウェアスタックにより、レベル2およびレベル3の自動運転をより確かなものにすると述べている。AIが得意とする膨大なデータを継続的に投入することで、その性能は向上するだろう。
ソフトウェアアーキテクチャーは、AIの意思決定と行動の安全性、そして「説明可能(Explainabl:その判断に至った根拠やプロセスを人間に説明できること)」な状態を維持するよう設計されている。つまり、AIは説明責任も果たさねばならないということだ。





















































