ルノー、1回の充電で1008km走破 空力ボディのEVコンセプト『フィランテ』 現実的な高速走行を想定

公開 : 2025.12.25 07:25

ルノーのEVコンセプトカー『フィランテ・レコード2025』が、高速道路と同じ速度で1008kmを走破しました。バッテリーにはまだ充電が残っており、合計約1130kmの走行が可能だったとされています。

市販車のバッテリーを使用

ルノーのEVコンセプトカー『フィランテ・レコード2025(Filante Record 2025)』が、10時間で1008kmを走行し、平均速度102km/h、エネルギー消費効率7.8kWh/100kmを達成した。「高速走行でもこのレベルの航続距離が実現可能」であることを示している。

フィランテ・レコード2025は高効率を追求して設計された未来的なシングルシートのEVコンセプトだ。SUVの『セニック』と同じ87kWhバッテリーを搭載し、現実的な高速道路速度で1000km以上を走行することを主な目標としていた。

『フィランテ・レコード2025』
『フィランテ・レコード2025』    ルノー

今回、モロッコのUTAC試験施設で行われた記録挑戦走行では見事にその目標を達成し、10時間の走行を終えた時点でバッテリー残量は11%あった。ルノーによれば、この残量でさらに100km/hで120km走行可能だったという。

ルノーは記録挑戦走行の目的について、単なるEV航続距離の記録更新にとどまらず、現実世界での実用性を示すことだと説明している。

「もし、1回の充電で可能な限り長距離を走行することだけが目的だったなら、巨大なバッテリーを搭載したり、平均速度30km/hのエコモードで走行したりしたはずです」と同社は述べた。

3人のドライバーが交代で10時間走行

開発チームに課された目標は、平均速度110km/h以上を維持し、ピットストップを含め10時間以内に1000km超を走破するというものだった。結果的に、与えられた時間内でその距離をわずかに上回り、そのまま走行を続けていれば約1130kmまで到達できただろう。

参考までに、同バッテリー搭載のセニックは最大610kmの航続距離を公称している。フィランテ・レコード2025は航空機に着想を得た空力設計と、わずか1000kgという軽量ボディ(セニックの約半分)により、はるかに高い効率性を実現した。

『フィランテ・レコード2025』とチーム
『フィランテ・レコード2025』とチーム    ルノー

この記録挑戦走行に参加した3人のドライバーは、UTAC施設の約4kmのサーキットを合計239周した。

ルノーは、「フィランテ・レコードのスタイル、画期的な技術、現実世界における走行性能は、単なる技術的実験をはるかに超えるものです。この取り組みから得られた知見は、将来の市販EVモデルの開発に活かされ、持続的な高速走行といった最も過酷な条件下でも、さらなる効率性の向上とお客様の現実的なニーズに的確に応えることができるでしょう」と述べている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事