トヨタ、ル・マン24時間レース優勝 豊田章男社長コメント

公開 : 2018.06.18 00:52

とうとうル・マン24時間レースを「トヨタ」が制しました。8号車のTS050ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/フェルナンド・アロンソ)が優勝。2位には7号車が続きました。豊田章男社長のコメントを紹介します。

8号車/7号車がワンツー

FIA世界耐久選手権(WEC)の2018-2019スーパーシーズン第2戦「ル・マン24時間レース」を、8号車のTS050ハイブリッド(セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/フェルナンド・アロンソ)が制したことを受けて、豊田章男社長から以下のメッセージが発表された。

20回目の挑戦 実を結ぶ

「思いっきり走ってくれて、ありがとう!」

20回目の挑戦にして誰より長い距離を走ってくれたドライバー達みんなに向けてこの言葉を送ります。

同時に、388ラップ、5300km余りを走りきったクルマ達にもこの言葉をかけてあげたいと思います。

そして、「思いっきり走らせてくれて、ありがとう!」

ずっと、この戦いを支えてくださったファンの皆さま
共にクルマを作り上げてきたパーツメーカーの皆さま
心ひとつに戦ってきてくださったパートナーの皆さま

そして、現場で戦い続けたチームのみんなに今、伝えたい言葉です。

みんな本当にありがとう!

ポルシェへの感謝も

19回一度も勝てなかったわれわれは、ただひたすらライバル達の背中だけを見て、それより速く走るクルマを作れば勝てるだろうと新しい技術に挑み続けていました。

しかし19回繰り返しても勝てない。

「クルマを速くするだけではル・マンには勝てないんだ! われわれには “強さ” がない! 強いチームにはなれていない!」
昨年のレースの後、わたしは思わずチームに声を荒げました。

チームはゼロからのやり直しとなり “なぜ強さがなかったのか?” それを考えるところからの再出発となりました。

そして、チームが、考え、辿り着いたのがトヨタが大切にし続けている「改善」という考え方です。

クルマをつくるひとつひとつの作業……走らせるためのひとつひとつのオペレーション……それに向かう一人一人がどうしたらミスが起きないかを考え、それを徹底する。そうするとまた次にやるべきことが見つかっていく。

欠けていた「強さ」を身につけようと1年間ひたすらに改善を繰り返し、積み重ねてきました。

思えば、敵わなかったライバル “ポルシェ” は元よりそうした強さを身につけていたのだと思います。今年、直接、競い合うことはできていませんが、それに気づかせてくれたポルシェなど、偉大な過去のライバル達にも、改めて感謝いたします。

レースの前、チームの一員からわたしにメッセージが届きました。

「今年はドキドキが止まりません。ただひたすら改善を重ねてきましたが、それで分かったことは、改善に終わりはないということでした。それを知ったことがドキドキの原因だと思います。足りない部分が、まだどこかにあるはず…ゴールの瞬間まで仲間と、もがき続けます。モリゾウさん、見守っていてください」

これを読み、このチームは “強さ” を身につけ始めたと感じることができました。

GRスーパースポーツコンセプト 市販へ

ゼロから作り直してきたチームだからこそ今回はなんとしても結果を残して欲しい……。だから、今年は現場にいられずとも全力で見守ると決め、そして一緒に戦うことができました。

このレースで戦うクルマを今、われわれは、将来の市販車にしていこうとしています。

「改善に終わりはない」というトヨタの現場では当たり前の言葉をモータースポーツの現場の彼らが身をもって理解し、勝利に結びつけたことでそれは実現に向けた大きな一歩を踏み出せたと思います。

悲願だったル・マン24時間レースでの勝利を、われわれはようやく手にすることができました。

この瞬間を、諦めずにずっと待ち続けてくださったファンの皆さまと、今日は心からの笑顔で1日を過ごしたいと思います。

しかし、これは、また次の戦いの始まりであり、次なる改善が始まります。改善に終わりはありません。明日から、次の夢の実現に向け、また一緒に戦っていただければと思います。

また最高の笑顔で過ごせる日を目指して、引き続き、トヨタガズーレーシングを、よろしくお願いします。

おすすめ記事