クルマの板金 直面する後継者の育成問題 英名門に密着

公開 : 2018.09.02 08:40

監督するローレンス・ケット

われわれふたりを用心深く見つめるのはローレンス・ケットだ。ブリティッシュ・エアロスペースの実習生だった彼は、コンコルドのスペアパーツを作ったりボーイングと契約して747のエンジンカウルを製作した。その後彼はオートクラフトに入社し、コブラの仕事に就いた。ブルックランズで新しいMkIVを製作したこともある。そして1990年にこの会社を興した彼は、脇目も振らずに仕事に打ち込んだ。

「この仕事のコツを本当に会得するには約10年かかります」とローフはいう。「わたしはまだ2年目なので、うまくできなくても我慢してね」冒頭で言ったことからすれば、GTOのフェンダーを製作してもよかったのだが、ここにはフェラーリがない。しかしG&Aファブリケーションにはいつも1、2台のコブラが置いてある。

コブラ用の冶具も置いてあるので、仕事は少し楽になる。製作途中のパネルを当ててみて、どのくらいうまくいっているか確かめることができるからだ。より正確にいえば、どのくらいうまくいっていないかをローフが確かめやすいからだ。

最初の仕事は、素の金属シートからおおよその形を切り抜くための紙パターンの製作だ。使うのはマスキングペーパーとテープ、それにヘッドランプの穴のエッジの周りをトレースする鉛筆だ。このアウトラインをシートに転写した後、ブリキ鋏とプラズマレーザーを使って切り抜く。わたしがやるとガタガタになってしまうが、グレースがやるときれいな線でシートがカットされる。

お次はローラーだ。

おすすめ記事

 

自動車ニュースの人気画像