熟成された味わい深さ ランドローバー・ディスカバリー D350テンペスト(2) 圧倒的に使えるSUV ドイツ競合へ並ぶ動力性能

公開 : 2026.06.03 18:10

発売10年が迫る5代目ランドローバー・ディスカバリーに、新トップグレードのテンペスト登場。マット塗装で差別化しつつ、ファミリーSUVとして信頼感を抱ける運転体験は変わらず。UK編集部が試乗します。

ドイツ上級ブランドのSUVと互角の動力性能

登場からもうすぐ10年を迎える、5代目ランドローバー・ディスカバリー。D350テンペストに載る直列6気筒ツインターボディーゼルは、極めて上品に仕事をこなす。スターター・ジェネレーター(ISG)によるマイルド・ハイブリッドで、パワーも不満ない。

0-100km/h加速は、カタログ値では5.9秒。相当なオプションが追加され、車重が2.6tを超えていた試乗車は、計測では6.6秒だった。0-400mダッシュは、15.0秒だ。

ランドローバー・ディスカバリー D350テンペスト(英国仕様)
ランドローバー・ディスカバリー D350テンペスト(英国仕様)

この動力性能は、ドイツの上級ブランドが擁するSUVと互角に競えるもの。発進は滑らかで、3500rpm以上へ引っ張ってもトルクは衰えず、余裕ある高速巡航をこなせる。アクセルペダルの角度を少し増せば、僅かにボディを傾けて速度上昇を即座に始める。

試乗車の履くピレリ・タイヤが、オールシーズンだったことが理由と思われるが、濡れた路面での制動距離は長めで、約110km/hから停止へ要した距離は64.6m。よりグリップの良い、コンチネンタルやグッドイヤーのサマータイヤも選べる。

ファミリーSUVとして確かな信頼感

ステアリングは、ディスカバリーらしく穏やか。それでも、全高の高い大きなボディを自然に導ける、直感的な操縦性を備える。乗用車のような敏捷さはないが、重力へ抗せず滑らかに走るマナーは、ディスカバリー特有の魅力といってもいい。

切り始めからステアリングの反応は正確で、スムーズな回頭は適した速度域を感じ取りやすい。安定性は高く、ファミリーSUVとして確かな信頼感も抱ける。

ランドローバー・ディスカバリー D350テンペスト(英国仕様)
ランドローバー・ディスカバリー D350テンペスト(英国仕様)

それでいて積極的にカーブへ飛び込めば、ボディを傾けながら颯爽と旋回。タイヤは路面を頼もしく掴み続け、必要なら高速コーナーをシャープに駆け抜けることもできる。われ先と急ぐより、おおらかに流すスタイルの方が良く似合うけれど。

乗り心地は、22インチ・ホイールを履くD350テンペストながら、路面の凹凸を気にさせないほどマイルド。ただし、マンホールの通過時などは、足回りからゴツゴツと僅かな振動は届く。インチダウンし、より快適性を高めても良いだろう。

深いモーグルコースにも怯まぬ走破性

試乗車にはアドバンスドオフロード・パッケージが組まれ、通常のディスカバリー以上の悪路走破性を実現。エアスプリングで最低地上高を285mmへ持ち上げれば、ボディと路面が接する角度は、前後とも30度以上、ホイールベース間は27.5度へ拡大できる。

最大渡河水深も900mmあり、トヨタランドクルーザーや、メルセデス・ベンツGクラスに勝る数字といって良い。実際、深いモーグルコースでもタイヤはしっかり路面を捉え、酷いぬかるみも淡々とクリアしていた。

ランドローバー・ディスカバリー D350テンペスト(英国仕様)
ランドローバー・ディスカバリー D350テンペスト(英国仕様)

テレインレスポンス・システムは、路面へ合わせたモードを選べる他、任意に調整も可能。リアデフのロックも、ドライバーが指定できる。ペダルやステアリングホイールの漸進的な反応は、悪路でも効果的といえる。

燃費は、高速道路の巡航で平均14.2km/L。車格を考えれば妥当な数字だろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ランドローバー・ディスカバリー D350テンペストの前後関係

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