自動車の書籍 クリスマスのお供におすすめの1冊は? 英AUTOCAR選出

公開 : 2018.12.23 07:40

「ジム・クラーク・アット・ザ・ホイール(Jim Clark at the Wheel)」

50年も前の、分別もないティーンエイジャーの頃にはじめて読んだ本を持ってくるとは、われながら青いとおもう。だが、だからこそこの本が大好きなのかもしれない。お金もなければ地理的にも専門知識にも恵まれない若者がなんとかクルマを探し出して乗っていた年代に引き戻してくれるからだ。

あの頃はわたしも古いフォードで野山を走り回って、だれか自分の才能を見出してくれないかとひとり鼻高々だったものだ。

そんな時代の、のちにF1世界王者となるジム・クラークとその才能を見出し育てたイアン・スコット・ワトソンというふたりの友人の功績を、著者グラハム・ゴールドは簡潔で親しみやすい文体ながらこと細かに描いており、おもわず引きこまれずにはいられない。わたしもいまだに、いくつかそらんじられるくらいだ。

なかでも決して忘れられないのが、スコットランドでのハンディキャップつきレースでスコット・ワトソンがクラークにいきなり「わたしのDKWで出ろ」と振ったくだりだ。そしてそのあまりの速さに、ハンデつきのライバルたちもスコット・ワトソンが速いのだと思いこんだというのだ。このちっぽけで純粋な作品、いくつか持っているが生涯の友になるだろう―自分に運転の才能などなかったとわかっても。
(スティーブ・クロプリー)

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