今年も乗れることが奇跡に思える マツダMX-5(ロードスター):ベスト・ポイント賞 #AUTOCARアワード2026

公開 : 2026.07.02 11:45

2025年後半から2026年前半で、UK編集部が各カテゴリーのベストを称えるAUTOCARアワード。ベスト・ポイント賞に輝いたのは、マツダ・ロードスターです。果たして、その稀代な理由とは?

直近の1年間で満点が与えられた唯一のモデル

AUTOCARの試乗で、他を凌駕する高評価を獲得しているのが、4代目マツダMX-5(ロードスター)。直近の1年間では唯一、満点の5つ星に輝いている。その理由の根底にあるのは、最新モデルではないことかもしれない。

われわれの評価は厳正で、必ずしも最新モデルが多くの星を得るわけではない。出色の運転体験や革新的な技術を有せば、その可能性はあるとしても。

マツダMX-5(ロードスター/英国仕様)
マツダMX-5(ロードスター/英国仕様)

対してND型ロードスターは、2015年に発売されてから11年目。幾度かの改良を受けてはいるが、本来の素性は維持され、劇的に変化したわけでもない。

登場直後、1.5Lエンジン版に試乗した際、当時のAUTOCARは4.5星の評価を与えた。間違いなく、気分爽快な素晴らしいオープン・スポーツカーではあったが、パワーと姿勢制御に若干の物足りなさがあった。星、0.5個ぶんだけ。

ドライバーが求める要素が詰まっている

2018年に大きなアップデートを受けているが、当時は現実的な価格帯にある、新しく魅力的なスポーツモデルの影になっていた。ところが、それらは次々に販売を終了。他社の決断を横目に、マツダの小さなロードスターは提供が続けられてきた。

もし2026年にND型が発売されていたら、間違いなく世界のクルマ好きを湧かせるはず。1.0tほどの車重に、軽快に回る自然吸気エンジン、6速MT、後輪駆動の専用シャシー、簡単に折り畳めるソフトトップ。ドライバーが求める要素が、詰まっている。

マツダMX-5(ロードスター/英国仕様)
マツダMX-5(ロードスター/英国仕様)

確かに、これらの条件を満たすモデルは他にもある。しかし、ロードスターは多くの人が手に届く価格で提供されている。1.5Lのベースグレードなら、英国では2万8605ポンド(約601万円)から。2.0Lのホムラでも、3万6065ポンド(約757万円)だ。

以前より高額にはなった。しかし予算を2倍に増やしても、同等の興奮を味わえ、日常性も備えたモデルを見つけることは難しいだろう。

運転を愛する人によって設計されたクルマ

ロードスターに乗れば、運転を愛する人によって設計された、運転を愛する人のためのクルマだとわかる。ボディは大きくなくても、殆どの体型の大人が、スポーツカーとして理想的な運転姿勢に落ち着ける。

キャビンは、シンプルでエレガント。必要以上に大きいタッチモニターはなく、ステアリングホイールは丸く握りやすい。頭を悩ませるほど複雑な、ドライブモードもない。

マツダMX-5(ロードスター/英国仕様)
マツダMX-5(ロードスター/英国仕様)

ロードスター最大の醍醐味は、シンプルに運転を楽しめること。最初から、完璧といえるチューニングにある。他のクルマなら退屈になりそうな通勤ルートでも、ロードスターなら笑顔になれる。公道前提のサスペンションで、乗り心地も褒められる。

感触豊かなステアリングホイールと、心地良く動かせるシフトレバーを通じて生まれる、ロードスターとの一体感。スピードを高めずとも、喜びに気付ける。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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