EV時代に向けた「白紙からの立ち上げ」 革新的なBMWノイエ・クラッセ:エンジニアリング賞(前編) #AUTOCARアワード2026

公開 : 2026.07.02 18:05

BMWが導入した「ノイエ・クラッセ」は、新型車の開発手法を根本から書き換えたEV用アーキテクチャーです。その革新性とBMWらしさが評価され、AUTOCARアワードのマンディ・エンジニアリング賞を受賞しました。

クルマを変える卓越した技術力

「マンディ・エンジニアリング賞」は、自動車産業への卓越した貢献を称える賞だ。エンジン設計者であり、AUTOCAR UK編集部の専属ライターでもあったハリー・マンディ氏にちなんで名付けられたこの賞は、通常、著名なエンジニアに授与される。ルノーのフィリップ・クリーフ氏、日産のデビッド・モス氏、GMA創設者のゴードン・マレー氏らが過去の受賞者に名を連ねている。

今年は、チームワーク、卓越性、そして将来的な重要性を踏まえ、受賞作としてBMWの「ノイエ・クラッセ」アーキテクチャーを選出した。EVの世界において、有意義な開発と進歩をもたらしつつ、BMWならではの走りを実現しているからだ。

ノイエ・クラッセEVの第1弾となるBMW iX3
ノイエ・クラッセEVの第1弾となるBMW iX3    AUTOCAR

このEVアーキテクチャーの開発を率いたのは、ノイエ・クラッセの責任者であるマイク・ライヒェルト氏だ。自動車業界にとっては異例のプロジェクトであり、彼にとっても類を見ない挑戦だった。

「2020年、当時のCEOであるオリバー・ツィプセから呼び出され、『iX3だけでなく、ノイエ・クラッセ・ファミリー全体を、初期段階から発売まで率いてくれないか』と依頼されました」とライヒェルト氏は振り返る。

ノイエ・クラッセ・ファミリーは電動SUV『iX3』を皮切りに、セダンの『i3』(電動版3シリーズ)が続き、さらに数多くのモデルが加わる予定だ。

「白紙の状態」からのスタート

ライヒェルト氏は次のように語っている。

「エンジニアのわたしにとって、これほど画期的なものを生み出すチャンスは他にありませんでした。白紙の状態からゼロでスタートしましたが、自動車業界では、それは普通のことではありません。通常は漸進的な開発が行われます。既存のパワートレインの一部を活用し、少しずつ改良を加え、次の世代のクルマにいくつかの革新技術を組み込んでいくのです」

BMWでノイエ・クラッセの開発を主導したマイク・ライヒェルト氏
BMWでノイエ・クラッセの開発を主導したマイク・ライヒェルト氏

「ですが、2020年当時、わたし達はテクノロジー、演算能力、ユーザーインターフェースなど、一部の技術が飛躍的な進歩を遂げようとしていると考えました。そこに全力を注ぎ、あらゆる技術を限界まで押し上げ、BMWを未来へと導くことにしたのです」

「『ノイエ・クラッセ』という名称は、BMWの歴史からご存知でしょう」とライヒェルト氏は言う。ノイエ・クラッセ(Neue Klasse)とは、1962年から1972年にかけて同社が生産したモデルシリーズであり、『1500』セダンを皮切りに、後に『2000』や『E9』、『02』クーペなどが加わった。

この名称を復活させることは、「当時のBMW内部において大きな意味を持つものだった」とライヒェルト氏は語る。「1960年代と同じように、未来に向けてBMWに革命を起こすための第一歩でした。ただし今回は、強固な基盤の上での変革です」

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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