クルマの作り方を根本から変えた 革新的なBMWノイエ・クラッセ:エンジニアリング賞(後編) #AUTOCARアワード2026

公開 : 2026.07.02 18:10

BMWが導入した「ノイエ・クラッセ」は、新型車の開発手法を根本から書き換えたEV用アーキテクチャーです。その革新性とBMWらしさが評価され、AUTOCARアワードのマンディ・エンジニアリング賞を受賞しました。

鍵を握るのはソフトウェア

BMWがノイエ・クラッセ・ファミリーを指して言う「ソフトウェア定義車両(SDV)」とは、どういう意味を持った言葉なのか? 開発を主導したライヒェルト氏は次のように答えた。

「それは、ほぼすべての機能に、内部に電子部品が組み込まれているという意味です。ただし、ソフトウェア定義車両だからといって、将来的にハードウェアが重要でなくなるわけではありません」

ノイエ・クラッセEV第1弾となるBMW iX3
ノイエ・クラッセEV第1弾となるBMW iX3

「理想的なのは、完璧な機械的DNA、例えばドライビング・エクスペリエンスにおいて剛性の高いボディと、すべてのアクスルで完璧な運動特性を持っている場合です。そして、中央処理装置を『スーパーブレイン』、すなわち高速コンピューターとして活用するのです。これらすべての機能を1つのECUに統合します。そして、この最速の演算能力によって、機械系を可能な限り高速に制御できるのです」

要するに、ノイエ・クラッセEVは、BMWらしい走りをするということだ。AUTOCAR UK編集部がiX3で最も気に入っている点は、まさにそのBMWらしい挙動にある。だが、それは単にハードウェアだけによるものではない。

「iX3は2.3トンのクルマとは思えない走りを見せます。2トンよりも軽いクルマのように感じられるんです。ソフトウェアの反応が極めて速く、ハンドルをわずかに動かした瞬間にクルマが反応するからです。実に素晴らしい。ソフトウェアとハードウェアの共生です。それがBMWのやり方です」

パノラミックiドライブに注目

「BMWのエンジニアなら誰もが、BMWをさらに進化させるための『次の大きな革新』を考えていると思います。わたし達は、最新技術を披露するためにBMWを作っているわけではありません。その技術を使って、BMWをより良いBMWにしているのです」

「例を挙げましょう。わたし達は、ディスプレイの壁の前に座るようなことはしたくありませんでした。それはBMW流のドライバーの直感に反します。そこで、一部のエンジニアがフロントガラスを活用し、ピラーからピラーまであらゆる情報を投影するという素晴らしいアイデアを持ち込んだのですが、その『パノラミックiドライブ』の模型を見たときには鳥肌が立ちました。そして、少人数のチームで『そうだ、これを量産化したい』と決めたのです。これこそがBMW流です」

BMW iX3
BMW iX3

AUTOCAR UK編集部は、「パノラミックiドライブ」がiX3の大きな成功要因の1つになると考えている。フロントガラスの下部に計器類を投影するシステムであり、目の前にスクリーンを設置するよりも焦点距離が長く、美しく鮮明に表示される上、自分の好みに合わせて設定も可能だ。

「初期の段階から、その可能性を感じていました」とライヒェルト氏は語る。

「あの時、ノイエ・クラッセの中でこの技術を実現したいと決意したのです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

AUTOCARアワード2026の前後関係

前後関係をもっとみる

革新的なBMWノイエ・クラッセ:エンジニアリング賞の前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事