ジェームズ・ダイソン 独占インタビュー なぜEV市場に参入?

公開 : 2019.05.25 18:50

多くは明かされず 待ち遠しい正式発売

――バッテリー航続距離はどれほど重要なのでしょうか?

「社会が求めているのは、可能な限り長い航続距離を持つEVだと考えています。われわれの計画を見てお分かりのとおり、ダイソン製EVには大型バッテリーパックが積まれることになります。一方で、空力性能と前面投影面積も航続距離には大きく影響しています。充電のたびに、低い効率を実感させられるようなモデルが、ひとびとに受け入れられることはないでしょう。さらに、高効率モーターも航続距離を延ばすには有効であり、回生充電の効率を高めることもできます」

――ダイソン製EVでは快適性を非常に重視しているようです。大きなグランドクリアランスと大径ホイールでは、ホイールトラベルも多くなりそうですが、エアサスペンションや車高調整システム、モード切替えは採用されるのでしょうか?

「確かに快適性は非常に重要であり、是非われわれのEVで実現したいと考えています。大径ホイールがもたらすもうひとつの側面であり、ご質問の内容についても検討を行っています。すべてを明かすことは出来ませんが、サスペンションは非常に重要なコンポーネントであり、ピッチングが良い例ですが、ロングホイールベースを採用することで、対応がより容易になります。すべてが非常に興味深く、開発作業は素晴らしい体験となっています」

――軽量化について何度も言及されていますが、ダイソン製EVでは主要部材にスチールは採用されないのでしょうか?

「スチール製モデルのような生産規模は想定していませんが、それでも、それなりの生産台数を達成したいと考えています。カーボンファイバーの使用は興味深い試みであり、非常に小規模なスペシャルモデルには良いのかも知れませんが、われわれには時期尚早だと考えています。ダイソン製EVのシャシーにはそれほど革新的な試みは必要ありません。お話できるのは、ボディにはアルミニウムが使用されるということだけです」

――目標とする車重はどのくらいでしょうか?

「バッテリーの重量はエンジンよりもはるかに重くなります。しかし、低重心化は可能であり、内燃機関を積んだモデルよりもはるかに低い重心位置を実現することができます。もちろん、バッテリーは主な重量増の要因ではありますが、出来るだけそのデメリットを相殺するつもりです。一方、回生充電にはメリットでもあるのです」

――ダイソン製EVには、より多くのドライバーを惹きつけるためのエントリーモデルも登場するのでしょうか?

「技術の進歩によるところが大きいと考えています。全固体電池を実現することができれば、それがきっかけになるかも知れません……」

――さらなるダイソン製EVに関する情報はいつごろ発表予定でしょうか?

「正式発売までお待ちください。いまこうしてお話しているのは、特許情報が公開されたからです。通常、正式発売まで製品についてお話することはありません。民間企業として、自分たちのやり方で進めていくつもりです」

関連テーマ

おすすめ記事

 

自動車ニュースの人気画像