フェラーリ250 ヨーロッパGT(1) 羨望ブランドへの立役者 量産仕様で挑んだ5000kmレース

公開 : 2026.01.31 17:45

画期的なフェラーリといえた250 ヨーロッパGT 1954年に大アップデート 3.0L コロンボV12は220psを発揮 量産仕様で約5000kmのレースを走破 輝かしい歴史の1台をUK編集部がご紹介

画期的なフェラーリ:250 ヨーロッパGT

「エンジンを売りましょう。残りはタダです」。気難しい顧客へ、かつてのエンツォ・フェラーリ氏はこう提案したとか。そのエンジンとは、250 ヨーロッパGTにも載る、ショートブロックの「コロンボV12」だった可能性が高い。

このアルミ製V型12気筒ユニットは、革新的な設計にあった。SWBやGTO、ルッソ、ツール・ド・フランスなど、傑作250シリーズの動力源になってきた。

フェラーリ250 ヨーロッパ GT(1954〜1955年/欧州仕様)
フェラーリ250 ヨーロッパ GT(1954〜1955年/欧州仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

そして、250 ヨーロッパGTも画期的なフェラーリだった。多様な派生モデルへ展開されつつ、生産は10年以上続いた。少量生産のスポーツカー・メーカーから、フォードフィアットから買収を持ちかけられる羨望のブランドへ、成長する立役者になった。

大幅にアップデートを受けた250 ヨーロッパ

250 ヨーロッパGTの容姿は、1953年のフランス・パリ・モーターショーでお披露目された、フェラーリ375 アメリカの影響を隠さない。2800mmのロングホイールベース・シャシーへ、主にピニンファリーナ社製ボディが被されたグランドツアラーだ。

そのフロントに載ったのは、技術者のアウレリオ・ランプレディ氏が設計した4.5L V12ユニット。300psと際立つ最高出力を備えたが、僅か12台しか生産されず、需要が高まっていた北米市場の期待へ応えることはなかった。

フェラーリ250 ヨーロッパ GT(1954〜1955年/欧州仕様)
フェラーリ250 ヨーロッパ GT(1954〜1955年/欧州仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

他方、ランプレディの3.3Lエンジンを積んだ、初代250 ヨーロッパの発表も同年のパリ。当初はカロッツェリアのヴィニャーレ社製ボディをまとったが、量産仕様の多くにはピニンファリーナ社によるボディが与えられ、10か月間に22台が売れている。

しかし翌1954年のパリで、大幅にアップデートを受けた250 ヨーロッパが発表される。エンジンは、技術者のジョアッキーノ・コロンボ氏による、小柄な3.0L V12へ変更。その結果、ホイールベースは2600mmへ短縮が可能になった。

220psを発揮したSOHCのコロンボV12

このコロンボV12は、両バンクへ1本のカムシャフトを載せたSOHC。シリンダーは73mmのボアと58.8mmのストロークを持ち、7000rpmで220psの最高出力を発揮した。公道前提のウェットサンプ潤滑だったが、より高い回転域の常用が可能だった。

タイプ508と呼ばれたシャシーは、トレッドを前後で29mm拡幅。ボディを支えるアウトリガーは、リアアクスル上方へ伸びた。サスペンションは前がダブルウイッシュボーンで、後ろはリジットアクスルのリーフスプリング。最高速度は228km/hが主張された。

フェラーリ250 ヨーロッパ GT(1954〜1955年/欧州仕様)
フェラーリ250 ヨーロッパ GT(1954〜1955年/欧州仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

技術的な更新の大きさを踏まえると、新しいモデル名を得ても良さそうに思えるが、何故か継承されている。しかも、発表当初は250 ヨーロッパのみだった。

それでも、量産段階で250 ヨーロッパGTへ変更。1956年にヨーロッパが省かれ、250 GTを名乗るようになり、クラシック・フェラーリの黄金期を象徴するモデルとなった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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